#子宮頸がん
iPSで子宮頸がん治療 順大、免疫細胞投与の治験開始/日本経済新聞
●健康な人(つまり他人)由来T細胞を患者に移植→iPS段階で拒絶反応が起こさないように改変
●移植用細胞を在庫出来る→治療開始までの時間短縮 他
山中教授がノーベル賞を獲得されてから、iPSは日本の国家プロジェクトとして推進されました。
しかし、なかなか見るべき成果があらわれないことから、そのウェイトは徐々に遺伝子治療の方に移っていきました。
しかし、iPSはダメになったわけではなく、ようやくその使い道が開かれてきているところだと思います。
賛否両論あると思いますが、山中教授はiPSの基幹技術をパテントでがちがちに固めるようなことはされず、オープンにされています。それは教授の良心だと私は信じています。
もし良心が、ただ金というだけではなくて、賞賛やまた社会実装そのものという形で日の目を見なかったらだめだと私は思います。
そういう意味でも、このiPSを利用した注目の免疫療法の一種は成功してもらいたいと思っています。
何年も前から既に大きく取り扱われている方法です。
自分の細胞から取り出した免疫細胞を、外部で強くして増やして体に戻してやることでがん細胞をやっつけるという細胞移植の方法は既に存在しています。
しかしこちらの手法は、他人の細胞から作り出した強力な免疫細胞を患者さんの体に移植するというものです。
生体移植で問題となってくるのは、拒絶反応です。
違う人の臓器などが入って来た場合、患者さんの体にある免疫機能が異物という認識をして戦おうとすることがあります。
この拒絶反応を、iPSで技術で増やす時点で細胞の遺伝子構造を改編することで解決しおく、というのがこの治験で使用される技術のポイントと言えます。
記事にある通り、非常に、とても、意義があるものです。
自分の細胞を増やして戻すやり方は時間がかかりますから、まずすぐに治療にかかれないというデメリットがあります。移植が出来る頃には病状が悪化している可能性が低くないのです。
また、一患者さんのためだけに多くのヒト・モノが動くわけですから、当然コストが大きくかかってくることになります。
大きくかかるということは、出来る件数が限られてきますから、普及や発展にはネガティブです。
一方、このiPSを使った他家細胞移植は、事前に作っておくこと、つまりストックが可能なわけです。拒絶反応を抑えるための技術がどんなものかにもよりますが、もし、在庫が可能なのであれば、治療あたりのコストは相当安価になります。
つまり、普及や発展にポジティブということです。
そういう理由で、未来のある治験、と言えます。
個人的に最も期待していた技術の一つがいよいよ治験ということで注目しています。