#がん治療研究 #CART細胞療法
がん細胞への殺傷効果の高いCAR-T細胞を短期間で製造する方法を確立/タカラバイオ
●1~2週間かかるところ2日間で
●従来型に比べて疲弊度が少なく患者体内で機能・生存性が向上し、強力な抗腫瘍効果を示すことが期待される
https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_23m0904Aub3sn18neGu2bn.html
とても期待度が高い研究開発のニュースだと思います。
CAR-T細胞療法は、鳴り物入りで登場してからしばらく経ちますが、ここ数年は血液がんへの顕著な効果により、普及拡大している療法です。
患者さんご自身の免疫細胞であるT細胞を取り出して、”強力にチューンアップ”(CAR遺伝子導入)した上で、体内に戻すという療法で、化学療法が効かない場合や抵抗が出来てしまった場合に有効です。
タカラバイオさんのリリースによりますと、取り出されたT細胞をCAR-T細胞に変貌させる”チューンアップ”期間中に、細胞が分裂を繰り返すことによって疲弊してしまうことで、がん細胞殺傷能が削がれてしまうという問題がありました。
このT細胞が疲弊してしまう期間を大幅に縮めることに成功したのが、こちらのリリースの主旨で、1~2週間かかったところを2日間に縮めた、と。率換算すると、とんでもない短縮と言えます。
そして、これによって疲弊の少ない(=元気ピンピンということですね)CAR-T細胞が出来たのだ、ということです。
疲れが少ないということは強力ということで、恐らく試験はこれからだと思いますが、がん殺傷能力が強い強力CAR-T細胞であるようです。
また、コスト削減にも寄与出来る可能性があるようで、安くて美味い、CAR-T細胞の登場と言えそうですね。
CAR-T細胞療法については、これまで血液がん対象で実績を残してきているものですが、固形がんではまだ効果の出る方法がわかっていません。
対固形がんで最近注目するところでは、iPS由来のCAR-T細胞を固形がん向けに遺伝子改変することで効果が出やすいようにする方法などがあります。
こちらのタカラバイオさんの研究がどの程度の汎用性があるのかはちょっと私ではわかりかねますが、盛んに実施されているCAR-T細胞療法研究を加速させるようなものになるよう願っています。