#がん治療研究
先日、”全てのがんを殺傷出来る可能性がある”とするPCNA標的療法「AOH1996」についての記事をPUしたところ大きな反響を頂きました。↓
この療法についてオールアバウトサイエンスジャパンさんが「論文ウォッチ」として現状評価されています。ご参考にどうぞ。↓
https://aasj.jp/news/watch/22652
現状結論としては、「まだ道が長い研究」とされています。
こちらの療法でターゲットとしているPCNAというのは、細胞分裂にあたって発現するもので、増殖に関わるDNA合成や修復、更には転写にも重要な役割を果たしているタンパク質のようです。
細胞増殖に欠かせない、というものなら、がん治療の標的として目をつけられてもおかしくないところですが、今までは見るべき研究は存在していなかった、とのこと。
今回の論文の出元であるベックマン研究センターは、このPCNAの中でもがん細胞にしか発現しないものを発見しており、その一歩目とも言える成果と言えるのが「AOH1996」であるようです。
ベックマン研究センター(シティ・オブ・ホープ内)↓
Beckman Research Institute | Cancer, HIV and Diabetes Research | City of Hope
「AOH1996」の機能は、要するにPCNAの働きを妨害するもので、さらに要するに、がん細胞の細胞分裂を止める、というものです。
試験管内での試験では、既にほぼ全てのがん細胞に対して増殖抑止の効果を呈しているようです。
また、正常細胞には影響が無いことも同時に確認出来ているとのこと。
ところが、マウスの試験では 「AOH1996」単独では思ったような効果が出ていないようです。
現状、既存の抗がん剤との併用すれば効果が上がることがわかっている、そういう段階です。
論文を評価しているAASJさんの著者さんの意見としては、話題のPARP阻害薬などのDNA修復阻害薬との組み合わせで効果が出るのでは、とのこと。
「AOH1996」は、がんには作用して正常細胞には害を与えない、という点において理想的な化合物だと言えます。
この研究が更に進むことを強く願います。