#がん治療研究
がん転移しやすい肺の部分に起こる変化を発見、予防的治療につながる可能性 信州大/医療NEWS
●がんが肺転移前に転移先に作る足場(転移前ソイル)の検出
●動物実験で転移抑制に成功
●将来、転移前・初期に検出し、予防的な治療が実施出来る可能性がある
https://www.qlifepro.com/news/20230830/fibrinogen-saaas.html
がん治療においての最重要課題の一つは、転移にどう対処するか、と言えるように思います。
こちらの信州大学さんの研究は肺転移に関してのものですが、転移前からその可能性を探ることが出来る、というものです。
ポイントとなるのは血管で、血清アミロイド遺伝子群とヒトフィブリノーゲン(血しょう中の凝固因子)が沈着したところに、がんが転移することがわかりました。
またこの転移が起きた場合のヒトフィブリノーゲンには、シトルリン化という変化が起きており、これを起きないようにした動物で実験したところ、転移が抑制できたようです。
つまり、肺に関しては、特定の血管の変化(=シトルリン化ヒトフィブリノーゲン+血清アミドイド遺伝子群の沈着)が起きたところに、まずがんは転移を開始することがわかった、ということになります。
肺転移の一つの構造が判明したと言えます。
研究グループさんらは、
【抜粋】 「患者の場合、原発のがんが見つかっても、兆候のない正常な部分を採取して調べる事は行われない。今後このヒト化動物モデルを用いて、肺のシトルリン化フィブリノーゲン-SAAs複合体を個体レベルで検出することを目指す。特異性と感度を上げることにより、将来患者のがん転移の前や極早期転移を、侵襲がない状態で調べ、予防的な治療ができる可能性が見込まれる」
どのようにしてその血管の変化を検出するか、が課題です。
まだ転移していない状態の血管、つまり健常な組織を調べるのですから、無侵襲(=体に負担がない)である必要があるわけです。
もしこの検出技術が確立されたとすれば、抑える方法はある程度算段がついています。
非常に重要な技術だと思います。
素人の感覚で物を言いますと、血管の状態がどうであれ、ヒトフィブリノーゲンのシトルリン化を抑止させる薬を肺転移リスクの高いがんと診断されている場合には投与することにすれば良いのでは、と思ったりもします。
いずれにしても、大いに期待する研究です。