東京慈恵会実施したビタミンDによるがんの再発防止効果を確かめるランダム化比較試験の結果です。
昨日取り上げた話題ですが、更にわかりやすい記事がありましたので再度取り上げました。
以下、まとめます。
●がん抑制遺伝子であるp53は、最も高頻度に見られる変異でがん全体の30~50%にも及ぶ。
発現の度合で(A)過剰発現、(B)中程度発現、(C)わずかに発現、(D)無発現に分けると、(A)→(D)順で再発死亡率が高い。
●(A)グループの中でも血中に抗p53抗体が見つかったグループの再発死亡率リスクは他よりも約3.5倍も高い→かなりの高リスクグループ。
●このかなりの高リスクグループにビタミンDサプリメントを連日投与したところ、プラセボ(投与していないグループ)と比較として再発死亡リスクが73%ダウン。
このことは、高リスクグループであるにも関わらず、低リスクグループ同等にまでリスクを減少させたことになる。
●それ以外のグループ(つまり血中に抗p53抗体が見つからなかったグループ)では、ビタミンD摂取、非摂取も再発死亡リスクに差は無かった。
【備考】
・投与されたビタミンDサプリメント=容量は2000IU=50㎍
記事の内容は概ね以上です。
もう一つの記事と総合してみますと、以下についても重要点であると思います。
◎前述の”かなりの高リスクグループ”は80名、食道・胃・小腸・大腸がん罹患で割合は判明せず。
◎”かなりの高リスクグループ”のうちビタミンD投与された群の5年無再発生存率は80.9%で投与されていない群は30.6%と大きな差。
◎”かなりの高リスクグループ”以外のビタミン投与された群の5年無再発生存率は22.2%、投与されていないグループは21.1%と差が無い→そもそもリスクが大きくない=ビタミンD投与の”かなりの高リスクグループ”は30.6%なので、高リスクから低リスクに変換できた、と言える。
私はこの研究、衝撃を受けています。もちろん嬉しい意味で。
初期でがんが見つかり切除も出来たけれど、場合によっては再発するというケースはよくあります。
また、再発がんというのは難しいことが多いわけで、その対策として色々な予防的療法が実施されます。
ビタミンDがこの予防的療法を代替するものになるとはまだ言えませんが、p53過剰発現型の場合には、療法を補完する可能性は十分にあると言えないでしょうか。
そして、ビタミンDというのは、D2、D3と種分け出来るものの、その機能はほぼ同一とされており、これはサプリメントだけではなく、食品からや日光浴でも体内に得ることが出来るわけです。
つまり、患者さんによる任意の健康づくりとして実施することが出来る範囲ということです。
私の予想ですが、少なくとも慈恵大病院では、ビタミンDサプリメントが処方されるようになると思います。
ビタミンDに関しては、これ以外にも様々な研究が実施されています。
免疫力、糖尿病などなど。
運動がてら、太陽の下で30分ほどを毎日散歩することは、健康に素晴らしいものをもたらすかも知れませんね。