#大腸がん
大腸がんの術後補助療法の必要性をctDNAで判断
世界最大規模の画期的研究の一部解析結果発表/がんサポート

●対象6,300人"CIRCULATE-Japan"
●術後4週で血液採取,ctDNA陽性者の18ヵ月時点無病生存率38.4%,同陰性では90.5%
●術後化学療法要・不要の判断材料に

https://gansupport.jp/article/cancer/colon/47671.html

 

つい先日紹介させていただいた、MDアンダーソンで実施されている血液検査からの予後予測テストは、こちらの研究が基礎になっているようですね。

 

こちらの記事で主張されていることは、この血中循環がんDNAのテストの有用性についてはもちろんなのですが、日本のがん医療を俯瞰する形で、がんゲノム医療の在り方に言及されている点が印象的です。

 

現在、がんゲノム医療と言えば、遺伝子パネルによって適合薬を見つけ出すというものが主たるものとなっていますが、「結果として薬が見つかるケースは一部だ」という結論で、ずっと止まっているように思います。

 

この遺伝子パネルを受けることが出来る対象は、基本的には標準治療を終了した、言葉が悪いですが”成す術を失くしつつある方”であり、多くの場合ががんが進行してしまってからの試験となります。

 

幸いにして薬が見つかった方がおられるのは事実ですが、難しい状況を打破することが出来ないケースがほとんどで、お医者様からも、現状ではあまり信頼を得られていないという結果を見たことがあります。

 

こちらの記事で主張されているのは、遺伝子パネルではなく、がんゲノム医療という視点からとなりますが、治療初期における効果的な同医療の導入する一手として、この血液循環がんDNAのテストを挙げておられます。

 

そもそも、国家の政策として、ひと昔前までの日本の目玉は「iPS細胞」でした。

ところが、これがパッとした効果が出ないということで「がんゲノム医療」に取って代わっているのが現在と言えます。

 

ところが、このままではiPSの二の舞なのです。

相当な予算を投じて目玉にまつり上げながら、どうもダメだなあ、となりつつある気がしています。

 

こちらの、切除可能大腸がんステージ2~3患者に対するがんゲノム医療としてのリキッドバイオプシーは明らかに有用であり、本来やらなくてもよい術後補助化学療法を実施して生活の質を損なう患者さんを減らすことが出来ます。

言い換えれば、それが必要な患者さんを割出すことが出来るテストであり、もっと早く日本中に広めるべきです。

かなり有用ながんゲノム医療と言えます。

 

また、遺伝子パネルについても、治療早期で実施することの有用性を確認する研究が京大病院などで実施されているはずです。

こちらも有用性が確認されることを期待しています。

 

がん医療の進展を心から願う者としてはもちろんですが、納税者としても、もっと国・行政が本腰を入れてがんゲノム医療の本格実装に向けて精力的に動いていただきたい思いです。

それは、一人でも多くのがん患者さんを健康な状態に戻してもらいたい、いずれは自分もかかる可能性があるがんですから治癒・延命の可能性を広めてもらいたい、血税の無駄遣いはいい加減やめてもらいたい、という思いということです。

これ以上、日本という国が遅れた国になって欲しくない、という思いもありますね。