#ケトン食
がんケトン食療法の驚きの研究結果 3年生存率は44.5%/ダイヤモンド
●4期患者さん50人で実施、うち3ヵ月以上実施出来た37人で評価
3年OS44.5%、1年経過時点で完全消失3例、部分寛解7例、最長生存80.2ヵ月
※通常、4期生存率29.9%、肺がん4期3年OS14.6%

https://diamond.jp/articles/-/325841

 

ダイヤモンドさんが、最近頻繁に記事にされているケトン食ですが、これは見るべき結果かと思います。

 

大阪大学にて2013年から2019年で追跡されたものです。

評価された37人の内容は以下の通り

【抜粋】

●平均年齢は54.8±12.6歳
●男性15例、女性22例
●肺がん6例、大腸がん8例、乳がん5例、すい臓がん4例、その他のがんは14例

みなさんステージ4の患者さんです。

 

比較対象となる、全国の主要病院で取りまとめる全ステージ4患者さんの生存率が29.9%、肺がんステージ4の場合は14.6%です。

率だけを比較すると”有意感”は強いです。つまり、これって可能性あるんじゃないの、というものです。

 

また、

【抜粋】この生存率は、基幹病院でがんがⅣ期と診断されてからのものですが、私たちの研究に参加された患者さんは、ケトン食を開始してからの生存率になるので、遅い人では、診断から半年から1年以上経過しています。私たちの研究は、不利な条件になっているにもかかわらず、従来からの報告より十分な臨床効果が示されているのです。

とのこと。

 

同じ期間的条件で、ケトン食実施のステージ4患者さんと全ステージ4患者さんを比較するなら、前者に半年から1年の全生存がONされる形になるということです。

 

規模を考えると、ステージ4患者へのケトン食効果、と言うには早い気がしますが、それでも、有望な前臨床には見えます。

 

多くの方が気になる点があると思います。

これって、標準治療としての化学療法などは一切やらないで、ケトン食だけやったの?という点。
この記事からはわかりません。ただ、このケトン食療法の大きな意義は、生活の質を良いものに保ちながら=積極的に抗がん剤を入れないで、延命できないものか、ということになります。
また、下の大阪大学からの同研究に関する報告書によると、人によっては化学療法を全くやらない、化学療法をやるとしても加減しながら、ということのようです。
 
参考↓「大阪大学における癌ケトン食療法 5 年間の取り組みについて」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/53/5/53_207/_pdf/-char/en

 

最終的な目標は、ケトン食を取り入れながらも適宜化学療法も併用し、予後改善を図るステージ4患者さんに向けたターミナルケアのパッケージが確立されること、と言えるかも知れません。

積極的に抗がん剤を命の限り入れ続けることの方が、場合によっては予後が良い患者さんもおられるかも知れません。しかし、生活の質が著しく低下してしまうこともまた問題になります。

ですから、仮にそのような場合であっても(つまり、ケトン食より積極的化学療法の方が長く生きられるとしても)、余命をどう生きるかを優先し、ケトン食を選ぶことが出来るのであれば、それは新しい選択肢ということなります。

 

大阪大学さんでは、ケトン食の作用機序についても研究されています。

詳しく読んでいないのでアレですが、昨今対応医薬が登場したことで注目される、がん悪液質の対処になるなら、もうそれだけで大きな意義がありますね。

また、もしそうなら、これはステージ4患者さんに限らず、多くの患者さんにとっても有益ということになります。

 

私の勝手な妄想ですが、、、こちらのケトン食の臨床試験は、糖尿病ありの患者さんは除外されています。

血糖値が上がってしまうことを抑えるのがケトン食と言えますから、その点で、試験の条件の平準化を図るためには、血糖コントロールに異常を来す方が混じると、不安定因子になるからだと思います。

 

ただ、このケトン食は糖質を制限すると言う点で、糖尿病そのものに大変有意義です。

最近の研究報告で、糖尿病患者は一定率で寛解することがわかってきています。

もしケトン食によって、糖尿病が治ってしまうなら、それはそれで道が開けることになります。

ですから、糖尿病患者さんでがんに罹られた方が、治療初期から実施する食事療法としても、大変に意義深いものであると感じています。

 

「お先が長くないかも知れないから、好きなものをたらふく食べさせてあげなさいよ」というのが、進行したがん患者さんの食事療法に関する通念になっていると思います。

ここには、そんなことをしても長く生きられないんでしょ、という考えが裏にありますし、かわいそうに、生きているうちに、という感情も複雑に相まっての公倍数がこのような通念に至るのだと思います。

 

このような数字を前にしても、この通念の延長上では、まだまだはっきりしたものではない、完全なエビデンスとは言えない、ということになるでしょう。

しかし、患者さんご本にとっては、この数字は可能性である気がしてなりません。

 

エビデンスが不全であるという理由で、可能性を否定することを「科学的」と言うのでしょうか。最近はこの形で「科学的」を装う方が増加していますね。

 

私は、可能性を更に求めて追求し、確率を極めて構造を見出し再現性を得ること。

これを「科学的」と呼ぶべきだと思います。

 

ケトン食の原点は古来イヌイットの食習慣であることを知りました。

これを科学的に追及されたのが、ケトン食の現状です。

どうかこの研究が、いずれ全てのがん患者さんの希望になればと願います。