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【抜粋】

岐阜薬科大学(岐阜市)の遠藤智史准教授(39)らの研究グループが、がんの生存や抗がん剤耐性化を助長する「オートファジー(自食作用)」に特化した阻害剤を開発した、と発表した。阻害剤が、抗がん剤によるがん細胞のオートファジーを抑制し、治療薬の効果を高めることを初めて解明。遠藤准教授は「新たな抗がん剤併用薬の開発につながる研究成果」と話している。

今までオートファジー阻害剤は他の機能に影響することもあり、副作用が大きく、実用化できていなかった今回の研究では、膜の形成を阻害することに特化しているため、副作用が小さいと考えられており「より安全で、実用化に向けた足掛かりになることが期待できる」(遠藤准教授)という。グループは今後、臨床試験などを行い、最終的には新たな抗がん剤併用薬の開発を進める。遠藤准教授は「岐阜から世界に羽ばたく創薬を目指していきたい」と話した。

■オートファジー 全ての真核生物に備わる細胞内の浄化・再利用システムで、栄養不足の時に自分自身のタンパク質を分解して栄養を確保する仕組み。認知症や糖尿病、感染症などあらゆる疾患に関わる。がん細胞にも同様の機能が備わり、抗がん剤に耐性を持つのを助長することから、がん治療薬の新たな標的と考えられている。東京工業大の大隅良典栄誉教授(分子細胞生物学)が仕組みを初めて解明し、ノーベル医学生理学賞を受賞した。