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重粒子線治療の保険適用が拡大された旨、お伝えしましたが、陽子線治療も同じく適用拡大されています。こちらは、福井県立病院に関する記事です。
4月から保険適用は、肝細胞がん(長径4cm以上),肝内胆管がん,局所進行性膵がん,局所大腸がん(手術後再発)
【抜粋】
陽子線治療:ある深さで放射線量が最大になる陽子線の物理特性を利用した放射線治療法。エネルギー量などを調節することで、放射線量のピークをがん病巣に合わせることができる。従来の放射線治療で用いるX線に比べ、正常組織にはより少ない線量、がん病巣にはより多い線量を与えることができる。
がん細胞にピンポイントで放射線を照射し、切らずにがんを治療する「陽子線治療」。4月1日から、新たに四つの疾患が公的保険適用となった。国から他の治療法より優位性が認められた格好で、患者にとっては数百万円かかる治療費の自己負担が大幅に減り利用しやすくなった。福井県立病院陽子線がん治療センターの玉村裕保センター長(67)は「手術を諦めていた患者に勧めていくことができる。治療の選択肢にして」と力を込める。
福井県立病院陽子線がん治療センターでの陽子線治療費は、20回までの照射で240万円、21~25回で250万円、26回以上で260万円。公的保険適用の疾患では、高額療養費制度を活用すれば、自己負担額を数万~数十万円と大幅に抑えることができる。
新たに公的保険適用となった疾患は▽肝細胞がん(長径4センチ以上)▽肝内胆管がん▽局所進行性膵(すい)がん▽局所大腸がん(手術後に再発)―の四つだ。
玉村センター長が「公的保険適用になったのは大きい」と話すのは、がんを切除できない状態の局所進行性膵がんだ。「がんを小さくして切除できる可能性にかけてすごくつらい抗がん剤治療に耐えたのに、手術できなくて落胆している人を見てきた」。公的保険適用で「手術できなかった時に陽子線治療という道を示すことができ、患者も治療を頑張ることができるのでは」と期待する。
肝細胞がんの場合、長径4センチ以上であれば「肝臓へのダメージが大きすぎて切除できない」(玉村センター長)が、陽子線治療では、どこにがんがあっても治療をすることが可能。さらに、福井県立病院陽子線がん治療センターではCTでがんの位置を確認するシステムを導入し、誤差数ミリ程度の高精度な治療ができる。手術後に再発した局所大腸がんでは、陽子線治療で人工肛門を回避することもでき「患者のQOL(生活の質)を落とさなくて済む」(玉村センター長)。
陽子線治療は手術しないため体への負担が少ない。複数の疾患を抱えている人や、高齢で体力的に手術に耐えられない人も治療を受けることができる。しかし、玉村センター長によると、陽子線治療について知らない医師も多いのが現状だ。「医師側が治療の選択肢として示せるようにしていかないといけない」と話した。
福井県立病院陽子線がん治療センターでは陽子線治療の相談を受け付けている。専用ダイヤル(平日午前8時半~午後5時)=電話0776(57)2981。