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配信:東京新聞
少しずつ、頭頚部がん患者さんの光免疫療法の成果が確認されつつあります。
課題はありますが、着実に前進しています。
【抜粋】
神戸大病院で昨年十二月、光免疫療法を一回受けた七十代の女性は二〇年春ごろに、中咽頭がんと診断された。放射線と抗がん剤治療を受けたが再発。舌根に腫瘍ができ、手術で切除すると発声ができなくなる可能性があった。
同病院耳鼻咽喉・頭頸部外科特命准教授の四宮弘隆さん(40)は「他に手だてがなく、光免疫療法を実施した」と話す。治療後、がんは縮小したが喉の腫れや痛みがあり、一時はチューブで栄養を取っていた。現在は、会話も食事もできているという。
一方で、昨年五月以降、同病院で計三回の光免疫療法を受けた七十代男性は、病状が悪化した。一回目の照射後には、ほほにある腫瘍の約七割が壊死(えし)していることが確認できたものの、三回目を終えた後、腫瘍が急速に大きくなったという。
海外で三十人を対象に実施された第二相治験では、四人(13・3%)でがんが完全に消失。九人(30・0%)でがんが縮小した。しかし、治験と関連がある重篤な有害事象として、三人に痛みや気道閉塞(へいそく)なども報告されている。四宮さんは「症例数が少ない中で、治療は手探りの状況。光を当てる量など分からないことも多い」と言う。
愛知県がんセンターでは今年一月までに七人の患者に実施。いずれもがんの縮小が確認され、二人でがんが完全に消えた。ただ、頭頸部外科部長の花井信広さん(51)は「治療後に痛みを訴える患者は多い」と指摘。アキャルックスは光に反応する色素を含むため、皮膚が赤くなったり痛みが出たりしないよう、治療後しばらくは直射日光を避ける必要もある。花井さんは「各病院で情報を共有し、治療後の検証を進めることが重要」と話す。
