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【抜粋】
2歳以上の小児の再発・難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)と急性骨髄性白血病(AML)患者に対し、標準的な化学療法と抗CD38抗体イサツキシマブの併用療法で完全奏効率は52%であり、安全性は既報の成人データと同様であることが、フェーズ2試験であるISAKIDS試験の中間解析で明らかになった。
12月11日から14日までハイブリット形式で開催されている米国血液学会(ASH 2021)で、フランスHopital Universitaire Robert Debre (APHP) / Universite de ParisのAndre Baruchel氏らが発表した。
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は小児がんの中で最も多い疾患で、小児白血病の75%を占める。小児の血液がんの多くでCD38が発現する。イサツキシマブはCD38の特異的なエピトープに結合するモノクローナル抗体で、多発性骨髄腫において有効性が報告されている。
ISAKIDS試験(NCT03860844)は、単群多施設共同非盲検フェーズ2試験。初回か2回目の再発の白血病、もしくは難治性の患者(2歳から18歳未満)を対象に行われた。T細胞ALLとB細胞ALL、AMLの3つのコホートで、標準的なサルベージ化学療法とイサツキシマブの併用における抗腫瘍効果、安全性、薬物動態が評価された。
すべてのコホートでイサツキシマブは20mg/kgを単剤で1日目に投与した。ALL群では週1回で5週間、AML群では週1回で3週間投与された。化学療法は8日目に追加された。ALL患者にはUKALL R3プロトコル(デキサメタゾン、ビンクリスチン、ミトキサントロンまたはドキソルビシン、アスパラギナーゼ、髄腔内化学療法)、AML患者にはデキサメタゾン、フルダラビン、シタラビン、アントラサイクリン系薬剤、G-CSF、髄腔内化学療法が投与された。
主要評価項目は、完全奏効(CR+血球数回復が不十分なCR[CRi])の割合。副次評価項目は、安全性と忍容性、奏効期間、無イベント生存期間、全生存期間、奏効率などだった。
24人が登録され、B細胞ALL 10人、T細胞ALL 7人、AML 7人が治療を受けた。年齢中央値はB細胞ALL患者が 6.5歳(3-14歳)、T細胞ALL患者が歳10.0歳(7-16歳)、AML患者が7.0歳(2-17歳)。男性はB細胞ALLでは4人、T細胞ALLは6人、AMLは3人だった。全身状態はLanskyスコアが90-100点の患者は、B細胞ALLで 10人中9人、T細胞ALLで評価できた4人中3人、AMLで 6人中4人だった。
最初の診断から治験薬の初回投与までの期間の中央値は、B細胞ALLで2.6年(2-4年)、T細胞ALLで1.4年(1-2年)、AMLで0.9年(1-2年)だった。前治療数が1回の患者はB細胞ALL 30%、T細胞ALL 43%、AML 71%で、2回が60%、57%、29%、3回が10%、0%、0%だった。
イサツキシマブの治療数の中央値は、いずれのコホートでも1回(1-2回)だった。相対用量強度の中央値は99.11%、99.11%、100%であった。
奏効が評価可能だった患者は21人で、B細胞ALL 10人、T細胞ALL 6人、AML 5人。完全奏効(CR+CRi)は11人(52%)に認め、B細胞ALLで5人(50%)、T細胞ALLで3人(50%)、AMLで3人(60%)であった。奏効した患者のうち2回目の再発の患者だったのは、B細胞ALLで5人中2人(40%)、T細胞ALLで3人中1人(33.3%)だった。
イサツキシマブの安全性プロファイルは、これまでに得られた成人のデータと同様だった。グレード3以上の治療中の有害事象(TEAE)が、B細胞ALLで40%、T細胞ALLは100%、AMLは85.7%に認められた。グレード5のTEAEは3人だった(B細胞ALL 1人、AML 2人)。インフュージョンリアクションは、B細胞ALLで20%、T細胞ALLで42.9%、AMLで28.6%に発生したが、すべてグレード1/2だった。サイトカイン放出症候群はAMLで1人に見られた。
小児のALLとAML患者における薬物動態(PK)は成人患者でのデータと一致していた。また体重別にイサツキシマブの血中曝露量を比べたところ、2歳未満(体重4-12kg)の患者では、2歳以上の患者(体重13kg以上)と比較して、わずかに曝露量が低くなることが、PKモデリングで推測された。そのため2歳未満でも20mg/kgを使用すると決定された。
この試験では今後、2歳未満の再発・難治性ALLまたはAMLの患者の登録を開始するとしている。