治験の対象とならないがん患者のための「患者申出療養制度」とは(Medical Note) - Yahoo!ニュース
配信:ヤフーニュース 2021.06.29
【抜粋】
検査によって遺伝子変異が明らかになっても、その結果に伴った治療を受けられないことがあります。そこでがん治療では、厚生労働省が行う「患者申出療養制度」を活用し、患者さんの申し出によって適応外の治療薬の使用を検討できる臨床試験が始まっています。
患者申出療養制度とは、その病気に対して未承認・適応外の治療薬がある場合に、患者さんの申し出があれば、医師が安全性・有効性を確認したうえで未承認・適応外の治療薬を使用することのできる制度です。
「海外では認められている治療薬を日本で使用したい」「自分は治験の対象にはならないが、同じ治療を受けてみたい」などの希望を持つ場合に、主治医と相談して患者さん側から申し出ることができます。
効果が期待される治療薬が未承認薬や適応外薬で、その時点で治験や臨床研究も行われていなかった場合、「試したい薬があるのに試せない」という状況に陥ってしまいます。このような場合に患者申出療養制度を利用すると、医師が安全性・有効性を考慮し、この治療薬を使用してもよいかどうかを確認したうえで投与を検討することができます。
この制度を利用すると、一定の制限はあるものの患者さんが自ら望んだ治療を受けられるというメリットがあります。また実際に患者さんに未承認・適応外の治療薬を使用することによって、有効性や安全性の確立に役立ち、将来的にこれらの薬が保険適用となるための評価の足がかりにつながることも期待できます。
患者申出療養制度下の受け皿試験に参加して治療を行うと、保険診療でかかる費用とは別に試験を適正に実施するために必要な費用として最初に40万円ほど患者さんに負担していただくことになります。しかし、実際に使用する治療薬に関しては治験同様、製薬会社から無償で提供されますので、薬剤にかかる費用は無料です。長期間治療を継続しても追加で薬剤の費用がかかることはありません。