先日、寿司屋で飲みながら、大将と話をしました。

大将は50代、店を出して20年以上のそこそこ老舗です。

そこでのやりとり。


私「大将、寿司握るまで何年かかった?」

大将「俺は早かったよ。修業先が厳しくないところだったから、すぐ握らしてくれた。」

私「すぐって、どのくらい?」

大将「18から住み込みで修業して、24の頃には握ってたから、5年くらいかな?」


なるほど、寿司屋の修行期間は10年と聞いたことがあったので、

確かに5年なら早いのかもしれません。

どんな商売にも、下積み経験が絶対必要なのではないか、と私は思います。


現在の行政書士試験は、合格までの受験回数が3~4回はザラ、と聞いたことがあります。

3~4年かけて合格したとして、その受験期間は、行政書士業の下積み期間ではない、

ということを理解しておかなければなりません。

国家試験に受かれば、法律上業務はできますが、

実務経験のない人間が簡単でない手続きを行えば、

依頼者が負うリスクが高くなります。

つまり、実務経験のない行政書士は、危険、

もっとハッキリ言えば、社会の害悪ということです。


私が実際に経験した例をあげます。

風俗営業許可申請(いわゆる2号)の依頼を受けました。

「こんな店にしようと思うんですが、問題無いでしょうか?」

風俗営業許可申請における注意すべき点は、

経験の乏しい行政書士にはまず分かりません。


この難しいところは、店にはまだ内装がない、ということです。

行政書士が専門家として、「内装OK」の指示を出せば、

業者による内装工事がスタートします。

内装工事完了後、警察に許可申請。

1ヶ月後、立会検査が入ります。

立会検査において、警察より内装変更の指摘を受けたことがあります。

警察「先生、ここの壁、とってくれないと許可出せません。」

当然ですが、許可が出ないと風俗営業は開始できません。


実は、この壁については、事前から気になっていました。

そこで、実は工事前に、私は警察に、

平面図と、それから内装屋さんに作ってもらった店舗イメージ画像を持参し、

警察に事前協議に行っていました。

事前協議の結果、「大丈夫でしょう」との判断をもらっていたのですが、

なんと立会検査になって担当者が代わり、NG。


店舗の経営者としても、納得できません。

「先生がOKって言ったから、うちも金かけて工事したんですよ?」

と、もっともなことを言われます。


この件につき、お客さんから以下の損害が発生した、と主張されてもおかしくありません。

①壁をとる追加の工事費…約25万円

②許可の遅れにより、空家賃半月分発生…約15万円

③働く予定だった従業員の半月分の休業補償…不明


この件に関しては、お客さんより、

追加工事費だけ先生が折半してくれれば、あとはいいから、

と有り難い申し出をしてくれました。


私は何度も経験していた風営の申請。

しかも危険性を察知し、前もって警察に事前協議を通していたにもかかわらず、の最悪な結果。


よく、新人行政書士は、役所や先輩に聞きながらやれば仕事ができる、

などと甘いことを言っている人を見る度に、

私は非常に怖くなるんです。

他の行政書士が申請した書類を見て、何でこんなバカなことをやっているのか、

と言いたくなることも本当に多い。


彼らは、プロ意識の欠けた、素人行政書士なのではないかな、と感じています。

よく分からないから、聞きながらやる、という人が、

依頼者にとって最善の申請ができるとは思えません。

こういう素人行政書士が、自分の気づかないところでお客さんに損害を与えていたりします。


業務経験の浅い人が、客にリスクを転化した上で、

危険な手続き代行を繰り返しているという実態。

とはいえ、新人は誰もが、最初は素人行政書士です。

そこで、どうしたらいいのか。

新人行政書士に一番必要なのは、下積み・実務経験だと思います。