行政書士という資格は、資格試験の難易度で比較したときに、

司法書士や弁護士、あるいは税理士より低いために、

実務に就いた後も、他資格者から蔑まれた目で見られるのではないか、

というのは、受験生としての当然の疑問なのではないでしょうか?


例えば、ある日突然、神様から国家資格を授けられるとします。

あなたは、いくつかの資格の中から、行政書士がいい、と言い切れますか?


資格試験を序列化したときに、一番最下層にあたる試験こそが、

行政書士である。

それは、資格試験の難易度を見ても、明らかです。

行政書士という資格試験や士業を選んだ動機の中には、

「比較的合格しやすいから」という要因は入っていませんか?


行政書士実務についてそれなりの年月が経つ私の経験談を話します。

私は、実務で税理士、司法書士、弁護士、社会保険労務士などと関わることは多々あります。

他士業者も、2つに分けて解説します。

1つは、私と顧客を共有する、言わば業務提携している士業者。

もう一つが、全く見知らぬ士業者。


私と業務提携しているこれらの士業者は、

行政書士である私を蔑む目で見るどころか、

むしろ一目置いてくれている、と私は感じています。


もちろん、私の思い上がりかもしれませんけども、

商売に対する私の姿勢、業務に関する私の知識を、

素直に尊敬してくれていると思っています。


他士業者の先生方から、許認可のみならず、

法律構成や、登記手続のことや、訴訟手続のことまで色々質問されます。

時には彼らと飲みに行って、酔っぱらえば友人として、バカ騒ぎしたり。


行政書士として、蔑んだ目で見られたり、バカにされることは一切ありません。

また、彼ら信頼できる他士業者との付き合いは、

業際問題を問われやすい行政書士としては、必須です。


一方、全く見知らぬ士業者と、仕事を通じて知り合ったとき、

「行政書士だから…」と舐めてかかる士業者がいることは、事実です。

もちろん、これは相手の人間性によります。


ある弁護士と協働で契約書を作った時、その弁護士は、

行政書士である私の立場を大変尊重してくれました。

今後、こちらの地域で訴訟になる事件があれば、

ぜひこの先生にお願いしたい、と思ったものです。


一方、ある不法行為事件で、

被害者から依頼を受けた私が、加害者に送付した内容証明を見て、

鬼の首を取ったかのように、

「行政書士が内容証明を送付したら非弁行為だ」

などと言ってくる、変わった士業者も見ました。


この馬鹿げた内容証明を書いてもらうために、

クライアントは3万円を支払ったそうで、

私が最初に送った内容証明と、彼が依頼した内容証明の、

文章の違いに、彼は唖然としたそうです。


彼はその後、私の事務所へ来て、

「被害者の主張を全面的に認め和解をしたいのですが、先生に和解契約書を作成してもらえませんか」

と依頼してきました。


※ここで民法をある程度勉強している受験生へ出題。

この依頼を私が受けることは、民法に禁止する双方代理に当たりますか?


彼は、「まさか自分が金を払った内容証明に、

行政書士の非弁行為の事しか、まともに書いていないなんて、

思いもしなかった」

と語っていました。


開業当初は私も比較的大人しかったのですが、

最近はすっかりイケイケになってしまい、

初対面で、行政書士だとして見下した態度をとる士業者には、

チクリと攻撃しています。


先日も、国税上がりの税理士先生に、

会社の定款の作り方で突然、文句を言われました。

「行政書士なんかに頼むから、こんな変な定款を…」

みたいなことを、税理士が顧客に言っているんです。


私は、ある条件に当てはまる会社を設立する際には、

通常の司法書士や税理士ではまずしない特殊な方法をとっているのですが、

これがシャクに触ったらしい。


で、顧客は不安になって私に電話してきましたので、

私もその税理士に、変則的な設立の理由を説明しました。

この変則的な設立、コンプライアンスと節税を両立するための方法なんです。

私は許認可を専門としているので知っていますが、

税理士は、その辺まで頭が回らないことが多々あります。

なお、その税理士は、私の説明以降、当初の高圧的態度から一変しました。

もちろん、顧客の信頼も落とさずにすみました。


その翌週、また別の面識ない税理士から電話がかかってきました。

こちらの先生は、非常に腰の低い方で、

「先生、なぜこんな変則的な設立になっているのですか?」

と質問。


で、私が、

コンプライアンスと節税対策を両立するためのカラクリを答えると、

「なるほど~、こんな方法思いつきませんでした。」

と答えます。

(このカラクリは、ノウハウに相当するため、ここでは述べません。)


行政書士の多くが実務経験不足なため、会社設立に関する知識は、

多くの場合、税理士の方が上回っています。

行政書士が、他士業者にバカにされるのは、

他士業者の常識が行政書士にないためで、

それを身につけ、さらに許認可に対する知識が深ければ、

他士業者に蔑んだ目で見られたり、バカにされることはまずありません。


「行政書士は、開業しても業界でバカにされるのでは?」

ネットの掲示板なんかでネタにされやすいところですけど、

あれは、実務を知らない方々の妄想の世界です。

現に私は、他士業者からも、色々と紹介、依頼をいただいています。


ネットの掲示板情報や、受験生の変なコンプレックスに惑わされないように。

受験生は、自分たちが受けている試験の難易度で、

自分たちの価値を表現したいものです。

そして、突破した試験の難易度で、

自分たちの価値を評価して欲しいものなのです。


ところが、資格そのものを、市場(マーケット)は評価しない。

「難しい試験受かってすごいね」と尊敬されるのと、

「あなたに仕事お願いしよう」と依頼されるのとは、

全然違うことなんです。


行政書士が尊敬される場面があるとすれば、

国家試験に受かったことではなく、

クライアントに経済的利益をもたらしたときなんです。

同じように、

行政書士が蔑まれる場面があるとすれば、

資格試験が簡単だからではなく、

クライアントに経済的損失を与えたときなんです。