私の書く受験対策記事は、

受験勉強を開始してある程度の月日の経つ人を対象にしています。

これから、いざ行政書士試験の受験勉強を始めよう、

という人を対象にしたものにはなっていません。


これから学習を始める方は、

定評ある受験指導校の講座(通信でもよい)を受講することをオススメします。

受験指導校を選ぶ際の指針は、

その受験指導校が、司法試験の受験指導を行っているかどうか、

で判断するのが間違いないと思います。


なんだか訳の分からない検定などを沢山やっているような予備校は、

ちょっと気を付けましょう。

あとは、通信教育で有名なあの会社なんかも、止めた方がいいです。

司法試験受験指導校の行政書士講座は、

比較的間違いありません。


どうしても、独学で学習したい人(私もそういうタイプです)は、

まずは、前の記事で紹介した入門書を読んでください。


ところで、法律学の学習を開始する際に、ぜひ読んで欲しい本が2冊あります。

2冊も読むのか、なんて構えないでください。

法律書よりはるかに面白い本です。


野矢茂樹「論理トレーニング」(教科書)

野矢茂樹「論理トレーニング101題」(問題集)


この2冊は、法律学について書いた本ではありません。

しかし、論理を駆使する法解釈学において、この本を通じて学ぶ内容は、

必ず、強固な礎となります。

最初の1ヶ月は、この2冊を学習・理解することを強く薦めます。


1ヶ月学習開始が遅れる、なんて、大した問題ではありません。

その後の法律学の理解スピードに、大きな差が付くことになります。

そして、この2冊を通じて私が学んだことは、現在の実務にも大いに役立っています。

今まで勉強してきた人も、ぜひ試験まで期間のある今の季節だからこそ、

この2冊を読んで欲しいと思います。


法学は、論理的な思考の結晶です。

今年の民法の記述試験の問題に、平たく言えば、

「不法行為の加害者からの相殺は、なぜダメか?」

という問題が出題されていました。


相殺というのは、契約ではなく単独行為である、ということがまずポイントです。

受験生で、契約と単独行為の定義ができない人は、

直ちに基本書を読み直して、定義を暗記してください。

ここが理解できていないと、この問題を語る資格がないのです。


さて、設問において、相殺が契約ならば(相殺契約)、

実はここでは、何も問題にはなりません。

(相殺契約を禁止する法律があれば、それはパターナリスティックな制約となるでしょう)


相殺が単独行為であるがゆえに、不法行為の加害者からの相殺を認めると、

ある不都合が生じます。

最高裁は、相殺禁止規定の立法趣旨を、理由づけしているのです。

理由づけのことを、論理学の世界では論証といいます。

法律学とは、ある論点に対する自説の正しさを論証しあい、

その法的安定性と、具体的的妥当性を検証しあう学問なのです。


その葛藤から出来上がった法律学をもとに、

現在の行政書士試験は出題されます。

なぜなら、出題者は法学者だからです。


論理学の知識なく法学の世界に立ち向かうのは、困難です。

先に、論理学の知識を押さえてしまうことが、

最終合格への近道ではないかと、私は思うのです。