行政書士を開業し、

会報の新規登録者に貴方の名前と電話番号が載ると、

必ず最初にかかってくる電話があります。

会社名は伏せますが、加除式の本を買いませんか、という誘いです。

タイトルはよく知りませんが、「行政書士実務便覧」みたいなものです。


実務をよく知らない人に、こういった実務書を売りつけるのには訳があります。

それは、実務を知っている人は、そう簡単にこんな本を買ってくれないからです。

行政書士が書類作成を行う際、どういう方法をとっているか、ご存じですか?

依頼を受けると、本を読み調べて、書類を作成すると思っているのでしたら、

大間違いです。


私の場合、書類作成のために本を読むということは、まずありません。

本を読むのは、もっと別なところです。

では、どうやって書類を作成するのかと言えば、

私の事務所には、役所からダウンロードしてきた手引きを数十冊、

ファイリングしています。


そのファイルの中には、これまで何度も役所に問い合わせした内容、

言わば質疑応答の様なものが、

大量に書き込まれています。

例を挙げると、こんな感じです。


「バナナはおやつに含むか否かを問い合わせたところ、

予め弁当箱に入っているバナナに限り、おやつには含まないとの回答。

平成22年●月●日、担当タナカ」


こういった質疑応答がぎっしり書き込まれたファイルと、

これまで何度も作成した申請書の控えデータを利用して、

書類を作成していくことになります。


加除式の本がなぜ役に立たないかといえば、

行政書士業務の場合、各役所によって扱いがまるっきり違うんです。

司法書士業務なら、登記所毎に申請書の書き方が変わるなんてありえません。

ところが、行政書士の場合、ありえるんです。


それから、同じ役所でも、担当者毎に言うことが違うんです。

行政書士は、窓口の担当者と何度も話をすることで、

ある程度、信頼関係を築かないと、

行く度に違うことを言われて、書類を突き返されたりします。


全国統一マニュアルは、実務での使用に耐えれるものではありません。

このブログを読んで、今後独立開業を目指す方へ。

開業後すぐに営業マンが本を売りに来ても、こう言って断りましょう。


「当事務所では、これまでの実績の積み上げから、

独自のマニュアルを使用しておりますので、必要ございません。」


ここは、本を読めば仕事ができるなんて世界ではありません。


それから、もっとひどいのが、契約書式集。

実務の使用に、全く耐えません。


そもそも、民法、商法、各種特別法、訴訟法の知識のない人(行政書士資格者の大多数)が、

本を見ながら契約書を作ったら、クライアントの会社に大損害を与える可能性があります。

もし貴方が、契約書作成で予防法務の専門家になりたいなら、

相当な勉強と、それを専門とする事務所での修行が必要です。