同関係者らによると、9月中旬にも東証からプライム市場への上場承認が下りることを見込んでいる。東京メトロ全株を保有する国と都は、合わせて50%を総額3500億円で売り出す。
実現すれば2023年の半導体製造装置大手KOKUSAI ELECTRICを上回り、18年の携帯通信大手ソフトバンクのIPO以来の規模になる。
年初から日経平均が上昇を続ける中、国と都は今年度内のIPOを目指してタイミングをうかがってきた。8月に入って世界的に株価が乱高下したものの、同関係者らによると、今の地合いなら想定している規模の上場を実現できると判断した。
今後の市場動向次第では価格や時期を再調整する可能性もある。 都の担当部はロイターの取材に、「売却時期については国と協議中で未定」とした。
財務省のコメントは得られていない。東京メトロの広報は「上場の進ちょく状況についてはコメントしない」とした。東証を傘下に持つ日本取引所グループの広報は「個別銘柄についてはコメントできない」と回答した。
東京メトロ株は国が53.4%、都が46.6%を保有する。売却は財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が答申した方法に基づいて行い、上場時には合わせて50%をそれぞれ同率で売却する。
政府は売却で得た収入を東日本大震災の復興財源に充当する。復興財源確保法は、27年度までに確保した東京メトロ株の売却収入を復興債の償還費用に充てると規定している。
政府と都は22年5月、野村証券、みずほ証券、ゴールドマン・サックス証券など5社を主幹事に選定した。
東京メトロが8日に発表した24年4ー6月期決算は、営業収益が前年同期比6.4%増の1019億円、純利益が同37.8%増の180億円だった。個人消費の改善で国内総生産(GDP)が2四半期ぶりにプラスになるなど経済活動が堅調だったことを背景に、東京メトロの旅客運輸収入も増加した。
純資産は配当の支払いなどで24年3月期末から8億円減って約6674億円だった。
(浦中美穂、山口貴也 取材協力:Sam Nussey、平田紀之 編集:久保信博)
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