飛ぶように売れる「インバウン丼」、強気価格が映す安いニッポン
黄恂恂、Lisa Du一方で、こうした強気の価格に日本人の財布のひもはなかなか緩まない。兵庫県から千客万来を訪れた岡崎洋子さん(主婦)は5900円のバイキング値段を見て「お昼に気軽に食べるにしては」とぼうぜんとした。外国人と日本人のお財布事情に差が出るのは円安の存在が大きい。コロナ禍以降、円は対ドルで約4割目減りした。
だが、そのせいばかりでもない。過去4年余りの物価を比較すれば米国のインフレ進行の方が大きい。インバウン丼という言葉の裏には、取り残されている日本の価格という現実もある。
宿泊データを提供するCoStar(コスター)によると、23年12月時点の米国の平均客室単価は156ドル(約2万3400円)、シンガポールは252ドル、オーストラリアは168ドル。対する日本は138ドルと、世界に比べればまだ割安だ。
伊藤忠総研チーフエコノミストの武田淳氏は、決して日本人の消費感覚が鈍ったわけではないが、「賃金の上昇が物価の上昇に追い付いていない」のが原因だとみる。ただ変化も期待できるという。過去、賃金は物価の上昇を後追いしてきた。今年は消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化し、日本人の節約志向に変化が起きる可能性もある。
非日常を求めて
「ここでしか味わえない。また来たい」と話しながら、米国から訪れたアレックス・ゴールドマンさんは豊洲でインバウン丼に舌鼓を打った。シカゴで同じ値段を払ってもこれほど新鮮でおいしい海鮮丼は食べられないという。
日本政府観光局(JNTO)が21日に発表した1月の訪日外客数(推計値)は268万8100人で、2019年同月と同水準だった。能登半島地震発⽣で、東アジアを中心に訪⽇旅⾏への影響が⼀部あったが、地域別では韓国、台湾、豪州などからの訪問が単月で過去最高を更新したという。
政治家が無能すぎて日本はひたすら「安い国」になった。そんな中、商売人は外国人に高い価格で売るようになってきた。それはいいが懸念もある。途上国では外国人に高品質のものを提供し、自国民は低品質しか食べられない。日本もいよいよ、そうなっていくのかもしれない。https://t.co/HPYaTgPaL9
— 鈴木傾城(スズキ・ケイセイ) (@keiseisuzuki) 2024年2月21日