現実と戦えば戦うほど彼は死の香りを濃くしていく。



時々手招きをする。



ほら、極端な肯定と否定を内在させたあいまいな信号をよこしてる。



彼は自分が特別だと信じたくて出口をふさいだ場所にいる。



そこで、「不思議」という名の変わらぬ思考を繰り返す。



真実が見えても彼の姿が消えないのは、同じように憧れているから。



さあ、断ち切る準備を。



生きるのだ。

あなたが鷹のような目をすると私は何も言えなくなる。

あなたがいる。それが全て。




冷めた目で今は何を見てるの?

漆黒の翼を広げていってしまうのね。

青い風なんか吹かなければいいのに。




ああ、星屑があなたを隠してしまう。

どうかその前に全てを無に帰す口づけを。


いびつなマルで景色を切り取って君だけに焦点をあわせる。

黒で縁取ればもう君しか見えない。


それでもよそ見をしてしまうのは僕の悲しい性。


僕なりに君を愛しているけれど、すぐに君を忘れてしまうんだ。


思い出した頃に君がそばにいることを願うだけ。

遠くで輪郭がにじんでいる。

360度に広がる異空間。

うららかな日ざしに夢と現実の境もあいまいになる。


春は人を世界を酔わせる。

景色をにじませ色彩を氾濫させて。


なんと待ちわびたことか。

さあ、うかれ騒ごう。

酔いしれて己をもあいまいにぼかしてしまおう。

そうしてつかの間の調和を手入れる。


この短い祝祭に乾杯!!


あなたの杯も満たしましょう。


空をキャンバスに桜が花を咲かせた。


私は街をキャンバスに花になろう。


心一つで世界は変わる。


未来図を春色に染めて飛翔しよう。


さあ、再生の時。


輝こう!!

赤い月よ。

私の中の醜い鬼をあぶり出し、人々の目にさらしておくれ。


私は皆に許しを請うたりしない。


人々よ、思う存分罵って私を八つ裂きにするがいい。


大地が吸った鬼の血が乾く頃には、罪から自由になれるだろうか。


鬼よ。私に巣くう鬼の血よ。

なぜだろう。

子供の時には感じなかった漠然とした不安が気づけばいつもそばにある。

それはきっと今ある全てのものが常に喪失の危機にあることを知っているからだ。

では孤独は?

幸せなのになぜ寂しい?

それは影のように私のそばに常にある。
理解されないから?愛されないから?

違う。
満たされないからだ。
どんなに愛されてもどんなに受けとめられてもまだ足りない。
もっと違う愛が欲しい。
欲深いのだろうか。

ヴェルレーヌが歌っている。

あの雨音が私にも降り注ぐ。

駆ける。駆ける。駆ける。


躍動しない体。


焦り、苛立ち、沈む。


見上げれば空。


ただ、ただ、輝く空。


放したら、たどりつけるのに。


なんて広がる空。

最期まで他人でした。


だから泣けたのです。


やっとついた区切り。安堵。


今もただただ泣けるのです。


きっと抱えていくのでしょう。


たくさんのどうしてを。



火が消えてあなたの虚像もかき消えた。


残った真実がひどく白々しい。


哀れみと悲しみが朝日の中に居座っている。


いくつもの朝も私に忘却をもたらさないだろう。


思い出が優しさに変わるといい。