攻守交替
結局三日連続でそういうことをした。私はいつもと打って変わって、むしろ積極的になった。彼女にやる気がないから、こちらが上に乗ったりしないと格好がつかない。普段、相手を脱がすことも、触ることもないのに、この日に限って彼女に手を伸ばす。「濡れている」我ながら愚かしい言葉。それは何故なの?私が嫌いなんでしょう。暗がりを貪ってみる。彼女がいつも私にすることを、私が彼女にする。結局のところ「愛しているほう」が「愛してないほう」に奉仕するしかないわけで。でも、私は攻めることに性的興奮を覚えない。だから滅多にしなかったのだが、こんなに抵抗されない、ということも意外だった。(もしかしたら、たまにはするべきだったのかもしれない)抵抗もしない代わりに、彼女は殆ど反応しない。私は私で、数時間前に風呂に入ったはずのに、どうして匂いがするんだろう、などとボンヤリ考えている。先日、愛情が冷めるとこれをしなくなる、ことについて不満を述べたが、思えば今までの3年間何百回もコレをやっていたことには恐れ入る。貴女は何が愉しかったの?もう分からない。これは愛情表現なのか?昔「すごく舐めたいの」という迷言を残し、女同士の性加害事件で消えて行ったタレントが居たが・・そんなに強い動機になるほどのこと?少なくともこんな行為を繰り返しても、いつも相手が行きつくのは「飽きた」とか「冷めた」という境地でしかないような気がしてくる。減るもんじゃなし、などと言われるが、確実に何かが削られていく。性的好奇心?射幸心?狩猟本能?征服欲?性の渇き?・・・結局のところ「性欲」だ。愛情を深めていく行為というより、噛めば噛むほど味を無くすガムみたいzm。もう、一か月半前までには、戻らないのだろうか?私は欲望や本能のままに、ではなく、焦燥感と実験精神で動いた。顔に跨ってみたり、下半身を合わせたり、夏以来使っていなかった小道具を出してきたり、長々と、色々。どれも功を奏した実感が得られないため、とにかく知る限りの技巧を試す。皮肉にもまるで「情熱的」であるかのような様相を呈してくる。この夜、唯一、嬉しかったのは、私が好きだった言葉を彼女が呟いたこと。「イヤラシイ」この台詞、普段敬語を使う彼女が感に堪えぬようにベッドで囁くのが何よりも好きだった。あたかも最盛期の睦みあいのような出来でこの夜は果てた。結局これでほぼ最後となるのだけど、私たちはそのことを知らない。二人分の黒い下着がシーツの波間に行方不明になり、彼女がどちらを穿くか迷ってたので「くさいほうが貴女のやつ」と言ってやったら、可愛く睨まれた。意地悪な私。愛なんて知らない。