今は今であって、未来じゃない。

今楽しくても、未来もずっと今のままでいるわけではない。


後輩の柿本さんが、DDTを退団することになった。

怪我。生活。好きなもの。家族。生きがい。未来。

柿本さんは戦っていた。

それらと戦うのは、柿本さんだけじゃなく、

生きている限りみんなが戦うべきものではある。

でも、柿本さんの何が凄いって、そういうものと戦いながら

辛そうにしないところ。

人と接する仕事に就いていたら、

心が弱ってるとそれを漏らしてしまいそうになると思うの。

でも、彼はそれを見せずにお客さんと接することが出来ていた。

強いね。

彼は怪我でプロレスをセミリタイアした。

未練は絶対あるはず。

自分の好きなことを、自分の意志ではない離れ方をしたんだから。

でも、柿本さんはなるべく笑顔でお客さんに接していた。

一度光に照らされた人間が、光の当たりづらい場所で働くのはすごいことだ。

自分を照らしていた光とは全く関係のない場所なら、

その光を見なくていいから何とかごまかせるだろう。

でも、まばゆい光が見えている場所で、彼は働いてきた。

私は、彼といた光の中で一緒に過ごした数年間と

光とはちょっと離れていた場所で過ごした数年間を誇りに思う。

全くもって私が誇りに思う筋合いはないんだけども、

こういう時だけ先輩風を吹かして誇りに思う。

彼は、強いレスラーである前に強い人間だった。

リング上で強くいることがプロレスラーの仕事ではあるけども

リング上で強いからといってリング外でも強いわけじゃないからね。

強い人間でいることがそれがどれだけすごい事か。

柿本大地は、強いプロレスラーであり、強い人間だった。


現役女子高生のZERO-ONEの夕陽選手も、高校卒業とともに引退するらしい。

本人とさほど話したことはないけれど、素敵な人生を送ってやがる、と思った。

彼女と同じ年齢だったころの私は、完全に鼻垂れてた。

やりたいこと。

私にはそんなものは見つけられなかった。

彼女は、たぶん天才だ。

何がって、目標を見つける天才。

もっと言うと、見つけた目標に対して努力する天才。

プロレスのリングはまばゆいけれど

卒業してからの生活こそ今より輝いてほしい。

そして、卒業までに大きな怪我なく過ごしてほしい。


竹下さんも夕陽選手と同い年で、この春から東京にやってくる。

ホントに末恐ろしいガキどもだよ。

もうビジョンが見えてやがる。

まあ、これから何年か経って、

先に走ってる彼らに末恐ろしくないガキが反旗を翻す事もあるから

プロレスっつーか人生は面白いんだけどね。

今がすべてじゃない。

まだ見ぬ、現時点では全くノーマークのガキも未来の世の中をつくる。

今は今。

でも、今を大事にしないと未来も作れない。

おっさんだけど、私にも未来はある。

だから、今を生きるのですよ。

光の中でも、外でも。

まったく楽しいねこの世の中は。