魔法が使えない魔法使い。

16連射できない高橋名人。

クリープのないコーヒー。


まさにそんな姿だったわ。

昨日渋谷で見た光景。

それは跳躍力のない猫。

必死にジャンプしてるけどどうしても

軽自動車のボンネットに飛び乗れない。

何度も何度も挑戦するけど

その都度墜落して「グギャ!」と

おおよそ猫とは思えない声で雄たけぶ。

オイオイ着地すらできないのかね君は。

だが、落ちても落ちても挑戦し奇声を発するその姿に

「火垂るの墓」でも泣けない私が

不覚にも感動すら覚えてしまったわ。

そしていとおしいその気持ちを抑えきれず

ボンネットの上に乗せるためにミケに近づく。

…だがしかしそこは誇り高き猫の一族。

腐っても人間の手を借りることはできない。

当然のようにBダッシュで逃げるミケ。

まぁ、そらそうよね。

猫科の誇り高さに納得しその場を離れようとする私。

「グギャ!」

私の耳に入る、最近聞き覚えのある声。

声のしたほうを向く。

ミケと思しき彼がいない。

不安に思った私が声の方向に歩く。

なぜだか、本当になぜだか、

ミケはゴミ袋のビニール部分に

足が刺さって動けないでいた。

「フゥ~」

足が刺さったまま私を威嚇するミケ。

うぉ!すげえかわいい。

私はニヤニヤしたまま

一礼してその場を離れた。

とりとめのない、でも心癒された秋の深夜の出来事でした。

運動神経のない猫の長所ってなんなんだい?


今日のケツ論:目つきが妙に悪い猫もいるわよね