MSGやRAINBOW、ゲイリー・ムーアなどによってHR/HMの世界に入ることになるのだが、まだそれを意識していた訳ではない。単に洋楽の中の一派であり、そこに明確な区切りはなく、当時ミュージックライフとか音楽専科とか読んでたからデュラン・デュランやカルチャークラブ、ABCやJAPAN、ベストヒットUSAでよく観るTOP40物まで全部ひっくるめて洋楽、だからNWOBHMの意味も知らなかったと思う。

HR/HMを強く意識するのはLAメタルによって、このムーブメントはとにかくカッコよかった。シェンカーにも独特のカッコよさはあったがLAメタルは全くの別次元、無垢な田舎もんを一撃で引き込む華やかさや危険な美しさがあった。

まだBURRNも創刊前、このバンドの1stアルバムに衝撃を受け、その世界に深くハマっていく。

 

 

RATT

 

 

STEELERやROUGH CUTT、LONDONとかと並んで、LAメタル人脈相関図の中心に来るバンド。

スティーヴン・パーシー(Vo)のMICKEY RATTを前身とし、RATTに改名するが初期メンバーがROUGH CUTTを結成するために脱退、そこには後にオジーバンドで有名になるジェイク・E・リーもいた。スティーヴンはロビン・クロスビー(G)とバンドを再編、元DOKKENのフォアン・クルーシェ(B)、ジョージ・リンチに強く影響を受けた若きエース、ウォーレン・デ・マルティーニ(G)、ヴィック・ヴァーガットの「DOWN TO THE BONE」に参加していたボビー・ブロッツァー(Dr)が加わって最も知られる編成が固まる。

汚いイメージだったHR/HMの世界を根本からひっくり返し、派手なファッションとクールなルックス、ギターメインでヘヴィ、基本はNWOBHM影響下にある音楽性すら、太陽の似合う明るく開放的なものにしていた。

 

83年にVAN HALENの元マネージャー、マーシャル・バールが設立したTIME CORSTとマネージメント契約を交わしEPを発表。

 

RATT

 

 

RATTの本質はこのEPに凝縮されている。オープニングの “Sweet Cheater” 聴けば分かる、音楽性はメタルそのもの、音質も良くない、だがNWOBHMとは違う何かが確実にぶっこまれている。ラストにエアロのカバー(エアロの曲ではないがRATTはそれを元にしてる)がある意味。今までのHR/HMとは違うことに気付いた者がLAメタルに取り憑かれた。音も大事だが見た目も大事、硬派と軟派の絶妙なバランスが見事だった。

 

 

このEPはメジャーデビュー後に再発。その時に日本盤も出た。オリジナルTIME CORST盤、日本盤を含めた再発ATLANTIC盤以外に、TARGET RECORDS盤が存在する。

 

YOU’RE IN TROUBLE

 

 

ジャケが違うのももちろん、こっちは7曲入り。1曲目に “You’re In Trouble” が収録されている。イギリスMUSIC FOR NATIONS盤も、ジャケはTIME CORST盤と同じながら7曲だったはず。

 

METAL BLADEの名物オムニバスシリーズ「METAL MASSACRE 1」の1stプレスにはSTEELERやBITCHCIRITH UNGOLとかPANDEMONIUM、METALLICAらとともにRATTも名を連ねている。

プレスを重ねるごとにSTEELERがカットされ、RATTがBLACK 'N BLUEに差し替えられる。(ちなみにMETALLICAもヴァージョンが違う)

 

EPの日本盤が出たのは1st後、だから日本ではまだ知られていない、知られるのはやはりこの衝撃のメジャーデビュー作「情欲の炎」からであろう。84年。

 

OUT OF THE CELLAR

 

 

1stにして最高傑作、LAメタル史上1、2を争う名盤。

いきなり人気爆発、モトリーと双璧を成すLAメタルを代表するバンドとなった。個人的にも当時この世で一番好きなバンドだったんじゃないかな、ACCEPTも知らなかったしMETALLICAもまだいない。こんなカッコいいものは他にないと。

ビデオの存在も大きかった、PVがやたらカッコ良くて耳だけでなく目にも訴えた、PVはどれもビデオが擦り切れるほど観た。全曲最高、ギター好きとしてはギターソロはもちろん、ギターの音色にも衝撃を受けたことを覚えている。彼らはリフがカッコ良くていきなり耳を掴まれる。

メタルとは何かと問われて、JUDASやMETALLICAを挙げるのと同じレベルでRATTを挙げたい。それぐらい深い思い入れのある一枚。

見た目でグラムメタル扱いされているが音楽性はかなり硬質なメタル、NWOBHMは当然、ACCEPTなどジャーマン系、ヨーロッパ系の影響も強くある。それはLAメタル初期ほとんどのバンドにも当てはまる。

 

85年、2nd。

 

INVASION OF YOUR PRIVACY

 

 

ほぼ同路線ながら1stを上回る捨て曲なしの傑作。LAメタルの完成形、これがLAメタルの音と言っても過言ではない。自らの音楽性を「RATT 'N ROLL」として1つの基準を確立した。ミドルテンポで押す曲が多く、単調になりそうなアルバムの流れをノリと曲の良さでカバー、ほとんど曲間なく間髪入れずに次曲が始まるのが超COOL。

好みの分かれるスティーヴンの声、実際良い声ではないがそれこそがRATTの個性の1つ。この声がなくてはRATTにならない。

何より従来の子汚いメタルと違い、女性ファンも取り込んでしまったことが大きい。そこが硬派なメタル者に嫌われる部分でもあるのだが。。

 

12インチシングル。

 

LAY IT DOWN

 

YOU'RE IN LOVE

 

特に未発曲などは入ってない。

 

86年の3rd。

 

DANCING UNDERCOVER

 

 

同路線だった1st2ndに対し若干の変化、僅かにポップ寄り、あるいは音楽的に拡散しつつある印象、今までになかった曲調が現れてきた。もちろんずっと同じことはやり続けられないからそれは悪いことではない、ただ個人的な好みではあるが興味のない曲が増えてきた。それでもRATTの曲中確実に上位を争う必殺曲 “Body Talk” が炸裂、この一曲で傑作アルバムと言っていい。PVに痺れたね、カッコよすぎて。百万回観た。

 

 

この頃は毎年来日、三回観に行っている。毎回名古屋公演がしっかりあって、一般層を巻き込むほどの人気があったことが分かる。初来日時はまだBON JOVIよりも格上だったはず。

 

88年、4th「REACH FOR THE SKY」。

音楽性は一層拡散、これはLAメタル自体の変化に同調するものであり、RATTだけに限ったことではない。ガンズという怪物が現れ、LAメタルの流れが完全に変わった。メタル度は薄まり、ブルーズ色の強いバンドが主流となっていく。

明らかにその手の曲が多くなった。シングルカットされた “Way Cool Jr.” なんて正にそう。そのことを抜きにしても曲の質が落ちたような。。

 

。。とここまで書いて気がついた。これ持ってないや。レンタルで借りてテープで聴いててそのままになってるパターン。当然あると思ってたのにジャケ貼るために探してて、なくて自分でびっくりしてる。昔カセットデッキ壊れてテープもその時全部捨てたから、何十年も聴いてないことになる。

 

追記:送料無料の数合わせで買ったからジャケだけ載せる。

 

REACH FOR THE SKY

 

 

300円。

 

90年の5thはあった。

 

DETONATOR

 

 

あまり覚えてない。輝きは失われ、すでに興味もなくしPVで観た “Shame Shame Shame” や “Givin' Yourself Away” をなんとなく覚えている程度、改めて聴いてみたら初期の曲として知られる “Top Secret” なんかも収録されてて作品の出来自体は悪くない、ただ時代が大きく変わってしまっていた。

この時期、シーンの変化以上にバンド内部の軋みが表面化、売り上げも落ちアトランティックから契約解除、グランジ/オルタナの猛攻で今までのバンドの居場所がなくなりつつあった。そしてロビンが脱退し92年、自然消滅するように解散する。

 

スティーヴンはARCADEを結成、ウォーレンはWHITESNAKEに参加、ソロアルバムも発表。

97年に再結成して未発表曲集「COLLAGE」を発売、

 

COLLAGE

 

 

ただしロビン、フォアンのいない不完全な再結成だった。

99年にスティーヴンも脱退、もはやRATTとは呼べない状態で細々と活動を続けていた。

そして2002年に衝撃、ロビン死去のニュース。これで完全にRATTは終わったと思った。

 

実際はこの後もQUIET RIOTのカルロス・カヴァーゾを迎え、アルバムを発売したとこまでは知ってる、低迷を吹き飛ばすなかなかの快作との評判、結局買わなかったけど。

その後は全く知らないな。。

調べたところによるとボビーとウォーレンとで対立、ボビー側とスティーヴン、フォアン、ウォーレン側の2つのRATTが存在するらしい。

そんなことになってたのか。ボビーだけでRATT名乗るのは無理があるのではないか?

。。と思ったらスティーヴン側もウォーレン、カルロスがいなくなって、スティーヴンとフォアンだけになっているそう。う~ん、厳しい。もうどっちも無理じゃないか?

やはりロビンがいなくなった時点でRATTは終わってたような気がする。

 

 

“Sweet Cheater”

 

“You Think You’re Tough”

 

“Wanted Man”

 

“Round And Round”

 

“Lack Of Communication”

 

“Back For More”

 

“The Morning After”

 

“You’re In Love”

 

“Got Me On The Line”

 

“Body Talk”