S.D.I.のとこでも触れたRAVEN。NWOBHM期から活躍する超ベテラン。IRON MAIDENやDEF LEPPARDらと同世代、あの時代、最も凶暴な音楽をやっていたバンド。
VENOMもいたが、あれはちょっと特殊だから別枠。


RAVEN


狂ったようにバカ笑いしながら3人の男たちが大ハンマーででっかい物ををぶっ壊している。昔何かに書いてあったが、まさにRAVENはこんなイメージ。
デパートやファミレス、公共の場でとんでもないデカい声を出して暴れ回るクソガキのパワーにも似ている。
こう書くとただやかましいだけのように思われるかもしれないが、とてもいい曲を書いているしライブでも暴れ回ってるくせに演奏は超タイト、皆上手い。
特にBのジョン・ギャラガーは圧巻で、複雑なベースラインを弾きながら火を噴くようなVoを聴かせる。

そんなRAVENが85年にメジャーのアトランティックと契約、まさかRAVENがメジャーと契約するとは思わなかった。そういうタイプじゃない、マイナークラスの代表みたいなバンドだったから。本来喜ばしいことなのにコアなファンから「RAVENは魂を売った、日和った」なんて言われてたほど。でもこの時代もよく聴けば本質は何も変わってない。金がかけられるようになって表現の幅が広がっただけで、いつでもいい曲を書くということにちゃんとこだわっていたと思う。メジャー時代のあの衣装もSWEETとかのグラムロックの影響を受けていると知れば納得出来るものだ。
そしてその過激さは後のスラッシュ勢にも多大な影響を与えている。「KILL 'EM ALL FOR ONE」と銘打って、83年ごろMETALLICAとツアーしていたのは有名な話。

死ぬまでに一度は観たかったバンドの1つだったが、叶わなかった。




持ってるのを載せておこう。
80年、NEAT RECORDSからのデビューシングル。


DON'T NEED YOUR MONEY


マーク・ギャラガーのなびいた髪に、幾つも顔が見えると言われる。

同じくNEATから、81年デビューフルアルバム。


ROCK UNTIL YOU DROP


RAVENの本質を知りたければ、まずこれ。
全てはここにある。メジャー契約したRAVENを受け入れ難い気持ち、このガレージバンド感を知る者の気持ちもよく分かる。ガチャガチャしているのに高度な演奏力、そしてキャッチーでフックのある作曲能力の高さ、彼らがNWOBHMを代表するバンドの一つであることがこのアルバムを聴けば理解できるはずだ。

82年のEP。


CRASH BANG WALLOP


"Crash, Bang, Wallop" はライブでも定番曲。

同年の2ndフルアルバム。


WIPED OUT


1stを上回る破壊力、当時はさほど評価されていなかったが、後にスラッシュ/パワーメタルの原点の一つとされる歴史的名作。1st同様、代表曲満載。

83年、ACCEPTのウド・ダークシュナイダーをフィーチュアした3rd先行シングル。


BREAK THE CHAIN


ジョンとウドが絶叫するSTEPPENWOLFのカバー ”Born To Be Wild” と "Inquisitor" は必聴。耳が痛くなる。

83年、3rdフル。


ALL FOR ONE


初期の最高傑作。パンクっぽいガチャガチャさは減退したが、それを上回る曲の良さ。ヘヴィメタルバンドとしての、RAVEN独自の様式美さえ感じる。
自らの音楽性を「アスレチックロック」と表現していた。

84年、RAVENの全てを凝縮したかのようなライブアルバム。


LIVE AT THE INFERNO


これを聴けば初期RAVENの全てが分かる。
ベストアルバムとしても勧められる。

 

この時期に出たバンド側も認めてないような怪しい2枚組ベストアルバム。

 

THE DEVILS CARRION



まさかのメジャー契約、RAVENにそんな事有り得ないと話題になる。85年の4thアルバム。


STAY HARD


コアなファンの激しい不評、しかし思う。お前らはRAVENの何も分かっていないと。個人的RAVENの最高傑作。
雑音を聴きたいか、良い曲を聴きたいか。その違いだ。
タイトルそのもの、アグレッシヴさとメジャー感との高次元での結実。メロディアスなメジャー向けA級ソング “On And On”、初期の再録 “Hard Ride”、猛烈な “Extract The Action” に続くインスト “The Bottom Line” と構成も完璧。

前作のメジャー路線を一層追求、86年の5th。


THE PACK IS BACK


らしさは微塵も失われていない、しかしメジャーレーベルの手が入っていることは明らか、露骨な売れ線狙いが見えるようになった。インタビューなどでも彼らのフラストレーションが感じられるようになってきた時期。
作品としての完成度は高い、エディ・クレイマーによってプロデュースされたこのアルバム、メジャー作品として超一流。上っ面だけ見てRAVENは日和ったから嫌いという者より、この時期を含めて好きである者の方が信用できる。激烈さだけではない、ポップさやキャッチーさとのバランスが重要、RAVENの本質は実はそこにある。
“Don’t Let It Die” はRAVENで五指に入る名曲。

アトランティックの拘束に耐えきれず、勝手にレコーディングしたEP。86年。


MAD


ジャケやタイトルに現れたような、怒りに満ちた1枚。
メジャー契約以降の2枚を気に入らなかったRAVENルナティクスも納得。音質は悪くなったがメジャー経験も効果的に身にして、バンドのレベルが一段上がったように思える。

メジャー時代の総決算。87年の6th。


LIFE’S A BITCH


作品としての完成度は高いが、もはや流されていた、アトランティックは全く売る気が無かった。彼らの悔しさが伝わる。今作を最後に契約解除。

ワッコが去り、Drにジョー・ハッセルヴァンダーを迎え、新たにCOMBAT RECORDSと契約、88年の7th。


NOTHING EXCEEDS LIKE EXESS


前作を上回る好盤。曲の良さは確実に上がっている。
メジャー時代が無意味で無かったことと共に、この時代のライブ映像観ればスラッシュバンドに全く負けていない、壮絶なパフォーマンスを展開していることが分かる。

ドイツのSTEAMHAMMERと契約、91年の8th。


ARCHITECT OF FEAR


年代的に重苦しさに満ちた、RAVENの作品中で印象の薄いアルバム。

同年のEP。


HEADS UP!


新曲と旧曲のライブ。

長い沈黙の後、94年に突然出た9th。


GLOW


全作通して一番つまらんアルバム。グランジ/オルタナ全盛期、RAVENがこれをやってはダメだ。でもゼロコーポレーションから日本盤も出た、そのおかげか初来日が実現。
そのライブアルバム。


DESTROY ALL MONSTERS - LIVE IN JAPAN


死ぬまでに一度は観たかったRAVEN、この時を逃したからもう観られない。手遅れ。

再び長い沈黙。
97年に10th「EVERYTHING LOUDER」、


EVERYTHING LOUDER


99年に11th「ONE FOR ALL」発表するも


ONE FOR ALL


もはや全盛期を超えることはなかった。
マークが両足を骨折したとかそんなニュースを見たような気がするが、そのままRAVENは静かに姿を消した。

10年の時を経て、2010年に会心の12th「WALK THROUGH FIRE」発表、


WALK THROUGH FIRE


久しぶりの快作、まだRAVENは死んでいないと思わせてくれる。

こんなのもあった。
90年代に出た貴重音源集。


UNRELEASED TRACKS



RAW TRACKS


なぜか3rd、アナログ+CD2枚もある。





 

 

"Lay Down The Law"

 

"On And On"

 

"Extract The Action"

 

"The Bottom Line"

 

“Don’t Let It Die”

 

"Crash, Bang, Wallop"

 

“Live At The Inferno”