当時通っていた地元の輸入盤屋にあったこのレコード。ジャケが呼んでいる、でも試聴してあんまりピンとこなかったような、散々迷って行くたびに迷って結局買わなかった思い出のアルバム。10年以上の時を経て3倍ほどの値段で買うことになる。アホちゃうか。あの時の自分を殴りたい。


ETHEL THE FROG


NWOBHM系で最も有名なあのオムニバスに収録されていたことで、名前だけは知られているのではないかと思う。


METAL FOR MUTHAS


77年にハルで結成された4人組。NWOBHMの波に乗って80年、唯一のアルバムを発表する。


ETHEL THE FROG


このジャケこそがNWOBHMの魔力、なんだか分からない禍々しさや不気味さがジャケから漂う。アーティストにはある程度ベールに包まれた感が必要、俗世間を超越した異世界感のようなものが。昔は本当に情報がなかったからレコードだけではどんなバンドなのかさっぱり分からない、それがさらにミステリアスさを増して、NWOBHM期や辺境バンドの多くが謎になっていた。
しかしこのバンドは隠されすぎ、メンバー写真もない。唯一ネットで見つけた写真を転載させていただく。

ethel the frog

メイデンと同じEMIからデビューしたにもかかわらず、ほとんど日本で話題にならなかった。確か当時も日本盤は出てなかったし、35年の間一度も日本発売されていない。知ってる人自体が少ないんじゃないかな?



いきなりビートルズの名曲カヴァー “Eleanor Rigby” から始まる、ビートルズになんの思い入れがなくてもそう思えるぐらいの名曲、なぜこんな有名曲を1曲目にしたのか知らないがインパクトは絶大。
他はNWOBHM期によくいたタイプのへたうまVo、安っぽい音質と隙間だらけの音像でメタルというより70年代HRな印象、微妙に耳を惹くツインのハモり、同時期のバンドによくあったブギー調の曲もあったり、また逆にプログレ風の空間の広がりとかメロディも感じたりして、一流以下のNWOBHMマイナーバンドにも興味がある人にお勧めしたい。そういう耳で聴けばこの味わい深さが心に染みるはず。貧乏くさいながらもアメリカとは違う、独特の気品と湿り気があの時代の英国好きを静かに興奮させる。

調べたら78年に自主制作でシングルを発表、それが “Eleanor Rigby” だった。なるほど、以前から演ってたのね。しかしそれをまたアルバムの1曲目に持ってくるとは大胆な。
「METAL FOR MUTHAS」にも収録された “Fight Back” は佳曲。古くささの目立つ彼らの曲中、最もスピード感のあるメタリックな曲でNWOBHM好きは必聴。
ラストの “Fire Bird” は7分半にも及ぶ少々プログレ風味の大曲。“Whatever Happened To Love” も良曲。
数年前にCD化されているから、もし安価で見つけたら買うことを勧める。amazonでは新品¥62083、中古でも¥15420ととんでもない値段が付いていたが。
(書いてた時点。現在は取り扱いなし)

アルバム発表後すぐ同年に解散、GとDrによって新たにSALEMというバンドが結成されるも83年に解散、長い年月を経てSALEMは2010年に再結成、アルバムなども発表されていて現在も活動を続けているが、ETHEL THE FROGの元メンバーは80年結成後の最初の数年でいなくなっている。



“Eleanor Rigby”


“Fight Back”


“Whatever Happened To Love”


Ethel the Frog/Ethel the Frog

¥1,702
Amazon.co.jp