ずっと前のボツネタ。ちょっと書き直して使おう。

バージョン違い。この言葉には音楽好き、特に細部を気にするようなメタル好きなら惹かれるものがあるはずだ。
最初にこの感覚を激しく刺激されたのは、恐らくMSGの「限りなき戦い」だったと思う。対アメリカ戦略で最初に発売されたアルバムと全く違うバージョンが後に発売される。
今でこそリミックスだのニューレコーディングだの珍しくはないが、当時はインパクトがあった。聴き込んだアルバムが全然違う印象になってしまったからだ。
そういう意味ではWHITESNAKEの「SLIDE IT IN」も凄かった。US盤はジョン・サイクスが加入しての録り直しだから全く印象が違う。実際は部分的な録り直しらしいが、ミックスや曲順の違いで印象の違いは甚だしいものがあった。

好きなバンドや曲のバージョン違いは気になるものだ。
このときも書いたが、12インチシングルにはそういう未発表バーションがよく収録されていたから無視出来なかった。
大体は「なるほどね」レベルで終わるようなどうでもいいものが多いんだけど、たまに強力なバージョンがあったりして。W.A.S.P.の "Wild Child" のリミックスバージョンなんて、名曲であるオリジナルの良さがさらにパワーアップされていてとてもとてもカッコよくなっていたから。

そんな中で思い出した1枚の12インチシングル。


EUROPE / ROCK THE NIGHT


名曲 "Seven Doors Hotel" には数多くのバージョン違いがあると言われている。アナログのオリジナルバージョン。CD化されたときのディレイがうっとうしいバージョン、他にも7インチにバージョン違いがあるとB!のレビューで酒◯が言っていた。
そしてこの "Rock The Night" の12インチ。各国でいくつもの種類が発売されていてジャケも違うからどれがどれだか分からないが、ここに収録されている "Seven Doors Hotel" も明らかにオリジナルと違う。
完全に録音し直されている。ジョン・ノーラムが弾いているのか、キー・マルセロが弾いてるのかも分からない。

その内容、これはもういくら音質が悪くてもテクニック的に稚拙であっても、やはりオリジナルが一番という典型的な例だ。あの北欧メタル独特の寒々しい雰囲気が完全に消えている。聴き込んだ聴き手の勝手な思い入れがそうさせるのかもしれない。
あれはマジックなのだ。本人たちにも分からない、あのときだけに出来た奇跡の瞬間。
SAVAGEの "Let It Loose" もまさにそんな感じだった。



"Seven Doors Hotel Single Version"