マニアには名門と名高いベルギーの大手インディーズレーベル、MAUSOLEUM。

mausoleum

霊廟という意味、だからMAUSOLEUMマニアのことを霊廟マニアとも言う。ク◯みたいなアルバムもあったが、数多くの名盤を残しマイナーメタル史において非常に重要なレーベルであった。
KILLERCROSSFIRE、そしてOSTROGOTHという三大看板バンドが所属していたことで有名、しかしこのレーベルはベルギー国外のバンドの発掘にも積極的でドイツやフランスやイギリス、オランダやスペインといった隣国はもちろん、北欧やアメリカにも手を伸ばしていた。
これはアメリカのバンド。正式にMAUSOLEUMと契約してアルバムを出したアメリカのバンドは彼らだけだったのかな。今一生懸命思い出そうとしているが他に思い出せない。
このバンドだけだったかもしれない。


BLACKLACE


81年、Gのカルロ、Bのアンソニーのフラグニート兄弟を中心にNYで結成された4人組。
83年にデモを制作した後MAUSOLEUMと契約、84年に1stアルバム「UNLACED」でデビューする。

blacklace
UNLACED


ジャケの初期LAメタルみたいなファッションから想像されるような軽薄さは感じない。2分にも及ぶ1曲目のイントロ "March Of The Black Witch"、不気味で禍々しいこのイントロ、アメリカのバンドとは思えないほどのヨーロピアンメタル型様式美の香りが漂う。
そしてギターのフィードバックからいきなりギアをトップに入れるが如く疾走、2曲目の "Call Of The Wild" に突入する様は見事としか言いようがない。ジャケを観てなめてかかっていた者のケツを完全に蹴り上げるだろう。

そう思って聴くからかもしれない。やはり彼らもNYメタルの影を纏っている。アメリカらしい部分ももちろんあるのだが、LAのバンドとは違うヨーロッパ的な暗さも持ち合わせていると思える。軽めで明るめの曲もあるが明るくなりきれてないような、それは音質の悪さも影響しているのかもしれない。
そして同系統の他のバンドと大きく違う物にしているのはヴォーカル、ジャケを観れば一目瞭然、Voはマリアン・スキャンディフィオという女性、彼女によって激しくやや暗めの楽曲に大きな魅力をプラスしている。必要以上に男っぽく歌おうとしない、女性らしい可愛さや優しさを残しているところがいい。そこが同時期の同類バンドとの大きな違いとなって強い個性となっていると思う。
もちろん他のメンバーの実力も申し分ない、DrやGも演奏力は一流。Bのアンソニーについては後に知ることになるから後で書く。

85年、同じくMAUSOLEUMからの2nd。


GET IT WHILE IT'S HOT


メンバーも変わらず、1stと同路線でさらにパワーアップしたようなこのアルバム、個人的にかなりの名盤。入手したのはこっちのほうが先だったから1stより聴き込んでるんじゃないかな?
1stのような劇的なオープニングはなかったが、シンプルで王道ともいえるギターリフで始まる "I Like To Rock" で激しく興奮したことを覚えている。音質も悪くなっているような気がするが、そんなことが気にならないぐらいカッコいい。
3曲目の "Speed Of Sound" は彼ら流のスピードメタル。
B-1の "The Right" なんてこんな曲、同時期のLAのバンドに書けるか?ってぐらいの良曲。
ヨーロピアンな暗さはわずかに減ったが曲が良くなってなんか余裕というか貫禄のような物まで感じるようになった。特にB面の構成力は見事。飽きさせない。アルバムの完成度としてはこちらのが上だと思う。

この時期、MAUSOLEUM所属バンドが多数出演するベルギーのフェスティバルに出演、その時の映像が残されている。
その映像を今回見つけることは出来なかったがその時だ、Bのアンソニーの強烈な魅力の虜になったのは。
「オレが主役だ!」と言わんばかりのロックスター然としたそのアクション、パフォーマンスは観る者の目を釘付けにした。マリアンを食うほどの強力さ。間違いなくバンドのリーダーは彼、アルバムでもときどき聴こえるコーラスに止まらず、へたくそな歌が聴こえると思ったらアンソニーが歌っていた。ステージアクションやBの腕は最高、歌は残念な感じだったかな。
でもアルバム内の良いアクセントにはなっていると思うし、ライブ映像観たときに彼なしにこのバンドは無いんだなって強く思えた。



デビュー前、MAUSOLEUMが発売したアメリカのバンドのコンピレーションアルバム「METAL OVER AMERICA」に参加。


METAL OVER AMERICA


ATTILATAKASHIも収録されている。

さらに当時キングのNEXUSレーベルから日本盤も出ていた「NEW YORK METAL-84」にも参加。


NEW YORK METAL-84


こちらにはOVERKILLやVIRGIN STEELE、CITIESなんかが一緒に参加。TAKASHIはここにもいる。
だからタカシって誰なんだよ?



"March Of The Black Witch / Call of The Wild"


"Speed Of Sound"


"I Like To Rock"


あった!これだ。このときのライブだ。


"I Like To Rock & Speed Of Sound"


マリアン他メンバーも素晴らしいが、なんと言ってもアンソニーのパフォーマンスに目を奪われる。

ひょっとしたら彼らはMAUSOLEUMを超えていたバンドだったのかもしれない。メジャーなレコード会社からアルバムを出していたらもっと上に行けたのかもしれない。ポテンシャル的に同時期メジャークラスのLAメタルバンドに決して引けを取らない。ルックスも悪くないしね。

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今さら言うまでもないことだと思うが、メタルはでかい音で聴かないと意味がない。
最近メタネタにtubeを貼るようになって、もし聴いてくれる人がいたら大音量で聴いて欲しい。そんなに無茶に大きい音でなくてもいいが小さい音ではダメ、なるべく大きい音量で聴かないと魅力が半減する。メタルはそういう音楽だ。
Play It Loud!!


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