HYTS

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BURRN!の創刊号のレビューに載ってて、なんせあのときのあの当時のB!誌のレビューってのは物凄い影響力があった、他に情報源がなかったのもあって、買いたいもの買わなくていいもの、全てそこで判断していた。
たとえ点数が低くてもこれは関係あるんじゃないかと思えたら買おうとしたし、どれだけ点数が高くても関係ないと思えば全く興味を持たなかった。
ヴァニラ・ファッジだのマウンテンだのジョン・ウェイトだの、メタルにあまり関係ないようなアーティストは避けていた。未だに聴いたことがない。

点数は関係ない。短い文章のレビューを熟読して判断していた。これはその微妙なラインにあったバンド。
創刊号でレビュー、でもあまりメタルとは関係なさそうな、点数も60点と迷うところ、B!のレビューは辛口だったからな。その真上でレビューされてる大好きなHELIXの名盤「WALKIN' THE RAZOR'S EDGE」が57点とあまり良い評価を得られていないほどだ。
その下でレビューされてたのがこれ、当時は買わなかったが後に中古で安く見つけたから買った。なかなかジャケを観ただけでは判断しづらいバンドではあったな。


HYTS


NWOBHMの流れとは関係のないところにある70年代アメリカのハードロック、産業ロックに近いコーラス重視のメロディアスなタイプに属する。JOURNYやサミー・へイガー、NIGHT RANGERなんかを思い浮かべれば近い音がイメージ出来ると思う。ベイエリアスラッシュが有名になる前のサンフランシスコのベイエリアのシーンは、こういう音楽が主流であったらしい。
サンフランシスコ出身、パット・リトルを中心とした4人組。80年に結成され、84年にこのアルバムでデビューする。


HYTS


当時のHR/HMの盛り上がりもあって日本盤も発売される。
邦題は「地獄のフィッツ」。
JUDASやMAIDEN、NWOBHMに影響を受けたような攻撃的なメタルとは違うが、気持ち良いアメリカンハードドライヴィングロックを演っている。前述したようなアメリカンメロディアスハードが好きなら、サミー・ヘイガーやNIGHT RANGER、Y&Tなんかが好きなら気に入ると思う。
いつも紹介しているようなマイナーバンドみたいに音が悪いとか歌が下手だとか、そういうことを我慢して聴かなくていい、緊張感やスリルには欠けるが高品質な良い曲を聴きたければ超お薦め、1曲目の "Lady Of The Night" で心掴まれること請け合い。



写真を見ても分かるように、この時点でかなりのベテラン。LAメタルのような若々しさはない、デビュー作にしてすでに貫禄がある。
しかし残念ながらやはり日本では売れなかったようだ。
全く話題にならず、中古盤屋の常連となった。

85年の2nd。


LOOKING FROM THE OUTSIDE


パット・リトルがローランド・リトルに名前が変わってるだけでメンバーも同じ、演ってる音楽も同じ、プロデューサーもエンジニアも前作と同じ。だから前作を気に入ったらこの2ndも気に入るはず。キーボードが強調されてよりポップにメロディアスになったようにも思える。
前作があんまり売れなかったからか、今作の日本発売はなかった。



渋好みの人にお勧めしたい。おっさん向け。質は高いし曲もいい、音だけ聴いてたら80年代のMTVバンドになんら劣るところはない。当時のKISSを思わせたりもする。



"Lady Of The Night"


"Better Than Me"


"Backstabber"

強力なPV。