メタネタにもいろいろ、特に思い入れのないのやどうでもいいのをやることもあるし、とても深い思い入れがあるバンドをやるときもある。どうでもいいのは適当に簡単に書けるけど、思い入れがありすぎるとやりたくてもなかなか書けない。時間がかかるしめんどくさいし。歴史あるとアルバム枚数とかも多くて大変、KILLERANVILもそうだった。本当なら好きなのをもっとやるべきなのだが。。
これもいつかやりたかったバンド、でもなかなか出来なかった。深い思い入れのあるから。

存在自体は昔から知っていたのに、彼らを表現するときに必ず付いていた「STATUS QUOの弟分」と言う一文が自分に関係ないバンドと判断させてしまった。イギリスの国民的バンドであるSTATUS QUO、メタルを聴き始めたごく初期、その本家を聴いたときピンとこなかった記憶が残っていたからだと思う。
ま、若かったから。当時は様式美系のHR/HMを主食としていてMOTÖRHEADさえ避けていたような時期だったから。だからSTATUS QUOの弟バンドにも何の興味も湧かなかった。関係のないジャンルの音楽だと勝手に判断していた。自分の好きなメタルではないと。そのままSPIDERと関わることなく長い年月が過ぎていった。もともと日本でそんなに有名ではなかったこともある。日本盤も出たことなかったし。

あるときSPIDERのライブ映像を観る機会があった。当時はまだYOUTUBEなどなく劣化したビデオテープの酷い映像だったが、それにぶっ飛ばされた。SPIDERってこんなにカッコいいバンドだったのかって。彼らはメタルだった。それも超Coolな。
直後にアルバムやシングルを血眼になって探し出す。結構値段の高いのもあったがアルバムはもちろん、シングルもそれなりの枚数集まった。それがもう10年以上前のこと。以来、今でも愛聴している。


SPIDER


76年、リヴァプールで結成された4人組。79年~80年ごろに数枚のシングルを発表していて、この時期起こっていたNWOBHMの波に乗りRCAと契約、82年にアルバムデビューする。


ROCK 'N' ROLL GYPSIES


メンバーはそれぞれB&Drのブライアン&ロブ・Eのバロウズ兄弟と、Vo&Gのコリン・ハークネス、そしてリードGのスニッファことデイヴ・ブライスの4人、この編成は解散まで替わることはなかった。



1曲目の "A.W.O.L." からアクセル全開。小気味よいブギーのノリに自然に体が動く。これはもう嫌いなら嫌い、好きなら死ぬほど好き、ハマったもん勝ちの音楽、好きになったら一生ものの病み付き的魅力のあるアルバム。あの当時も今も、何十年後も何百年後も存在していて欲しい音楽。
切なすぎるバラード "'Till I'm Certain" がまた泣ける。
アルバムの構成も見事。名盤。カッコ良すぎる。
This Is Rock & Roll!!

URIAH HEEPやGILLANの前座を務めレディングフェスティバルにも出演、すでに大物バンドの風格を身に付けての84年の2nd。


ROUGH JUSTICE


全ての面でパワーアップ。ややR&Rの軽いノリを感じた1stに比べ締まった感じのメタルな質感をプラス、音楽的方向性は同じだがよりメタル好きにアピールするようになった。



文句のつけようがない。代表曲 "Here We Go Rock 'n' Roll" で幕を開ける本作、1stで彼らの音楽に取り憑かれた者なら気に入らないはずがない。最高のブギーサウンドに蹂躙されること間違いなし。そして彼らもイギリスのバンドであることを再認識させるようなメロディの嵐。4曲目の "Martyred (For What I Love)" などは高尚ささえ感じるような切ないメロディが心の最深部に突き刺さる。"The Minstrel" はドラマティックなバラードでこれも泣ける。ハスキーで決して声域も広くないが、表現力豊かなコリン・ハークネスのVoが光る。必聴必殺の名盤。
プロデュースはNWOBHMバンドも数多く手掛けたクリス・タンガリーディス。

NWOBHMも終焉を迎え、もはやイギリスは死んだと言われていた86年、人気にも陰りが出始めメジャーをドロップ、3rdアルバムにして最終作。


RAISE THE BANNER


力強いジャケと内容にやる気が見えるこれまた超強力作。彼らに深い思い入れがあるであろうマサ伊藤の熱いレビューからもそれが伝わり、そして87点という高得点を献上している。
アンセムチックなオープニング "Raise The Banner (For Rock 'n' Roll)" から間髪入れずに始まる "Gimme Gimme It All" 、こんなカッコいい始まり方するアルバムがあるか?いつ聴いても何度聴いても興奮する。
そしてB面1曲目、彼らの残した曲中、最もハードロック寄りでメロディアスな名曲 "Bad Boys" が炸裂。本来のスタイルから逸脱することなく、メインストリームに十分通用するような強力曲。こんな良い曲、アルバムを残せるバンドはそうはいない。最高傑作。



これが最後のアルバムとなった。イギリス人に愛され、最高のブギーサウンドを聴かせたSPIDERは静かに去った。彼らはブギーという基礎の部分は変えずに、いろんな曲調にチャレンジし数多くの名曲を残した偉大なバンドだ。だが昔、無知な自分が感じていたことと同様に、日本ではメロディアスな様式美系のHR/HMが主流で、こういうブギーバンドはあまり人気がなかった。
SPIDERについても本国との知名度の差は天と地ほど有り、日本ではほとんど知られていないが日本盤が出ているバンドが全てではない、日本で紹介されていなくてもこんなイカしたバンドが存在したことを知って欲しい。
まあしかし思い入れたっぷりに書いたが、彼らの音楽を細かく分析するなど無意味。気に入るか気に入らないか。ノるかノらないか。それだけだ。

SPIDERは多くのシングルも残している。未発表曲があったりして無視出来ない。死ぬほどハマったからには一生懸命集めた。初期の異常に高値の付いていた数枚以外は結構集まった。

81年メジャーデビュー前のシングル。


ALL THE TIME



TAKIN' 'BOUT ROCK 'N' ROLL


1stアルバムからのシングル。


TAKIN' 'BOUT ROCK 'N' ROLL


これも1stアルバムからのカット。


ROCK 'N' ROLL FOREVER WILL LAST


ロックの名曲をメドレーでつなげた「AMAZIN' GRACE MEDLEY PARTS 1&2」のシングルがおまけでついている。


AMAZIN' GRACE MEDLEY PARTS 1&2


83年新曲。


WHY D'YA LIE TO ME

パッチ付き。

同シングルの12インチシングル。
パッチがない代わりにもう1曲入ってる。


WHY D'YA LIE TO ME


84年、2ndアルバムからのシングル。


HERE WE GO ROCK 'N' ROLL


同シングルの変形ピクチャー。


HERE WE GO ROCK 'N' ROLL


84年、新曲「BREAKAWAY」の12インチシングル。
応募するとスニッファのギターが当たるキャンペーンをやっていた。


BREAKAWAY


裏。



このシングルも7インチが存在する。

86年、3rdアルバムからのシングル。


GIMME GIMME IT ALL


GIMME GIMME IT ALL
FREE LIVE SINGLE LIMITED EDITION


同シングルのライブシングル付き2枚組バージョン。

1stと2ndはCD化されているから入手は可能。
こんなBOXセットも出た。これ買えば完璧。


THE COMPLETE ANTHOLOGY


さらにこんなのも。
全シングルを網羅した豪華2枚組。


THE SINGLES COLLECTION


これはちょっと複雑な気分。
嬉しいような悲しいような。。



A.W.O.L.


"Here We Go Rock 'n' Roll"


"Rock Tonite"


"Gimme Gimme It All"


"Bad Boys"


"All The Time"


Rock N Roll GypsiesRock N Roll Gypsies
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Rough JusticeRough Justice
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