LAメタルがだんだんNWOBHMの影響を離れ、よりファッション重視に、より軽薄に、女や酒のイメージばかりの、もはやメタルの範疇からも離れポップミュージックと紙一重の軽い音楽に成り下がっていった。
その代表格がPOISONであるが、決してPOISONは悪いバンドではない。現代のビジュアル系にも通ずる異常にケバいルックス、メタルとは言えない軽薄さで本来のメタル好きの反感を買ったが間違いなく良い曲はあったし、各曲をチャートに叩き込み一般層にもアピールした。売れればフォロワーも現れる。1つの流れを作った偉大なバンドでもあるのだ。
そんなアメリカのPOISONに対し、イギリスからの答えとして登場したのがこのTIGERTAILZだ。
TIGERTAILZ
ウェールズ出身のBのペプシ・テイトとVoのスティーヴィ・ジェイムズ、Gのジェイ・ペッパーによって結成される。
後にアメリカ人ドラマー、エース・フィンチャムを加え、自主制作でEPを87年に発表する。
SHOOT TO KILL EP
TOKYO BLADEのアンディ・ボウルトンがプロデュースに関わっている。このEPを入手したのはかなり後で聴いたのはフルアルバムの後だったのだが、名曲 "Livin' Without You" はすでにここに収録されている。
MUSIC FOR NATIONSのマーティン・フッカーに気に入られMFNと契約、同87年に1stアルバムを発表、正式にデビュー。
YOUNG AND CRAZY
場末のゲイバーのごとき強力なルックス、カリフォルニアの晴天を思わせるPOISONの爽やかさとは対照的。音楽自体はポップで軽快、メロディアスなハードロックだが、異常にダーティなVoが場末感を増幅、イギリスのバンドでありながらLAの最も汚い部分を感じさせる。この声がもう少しキレイな声なら印象は変わったのだが。。
でも思う。これこそがTIGERTAILZの個性であると。
"Star Attraction" だの "Hollywood Killer" だのLAの場末感丸出しの曲が続いた後、切ない小曲 "Ballerina" から必殺の名曲 "Livin' Without You" が炸裂。この流れだけでTIGERTAILZのほうがPOISONの百万倍好きだった。
だらしなくて軽薄、テクニック的にもバンドとしての能力は低い。だが彼らのブリティッシュの血、陽気になりきれない無意識に現れるイングランドの湿度、アメリカのバンドには決して表現できない哀しさと寂しさがあった。ルーズなR&R、グラムロックの派手さを併せ持った軟弱なイメージが強かったが、音楽的には結構なメタルバンドだった。世間で言われるほど悪いバンドではない。
個人的には悪くない、むしろ個性と感じていたが一般的には元凶とされたVoのスティーヴィ・ジェイムズが脱退、後任に元RANKELSONのB、キム・フッカーをVoに迎え88年、名曲 "Livin' Without You" のニューヴァージョンを12インチシングルで発表する。
LIVIN' WITHOUT YOU
オリジナルの切なさはやや減退したが、よりドラマティックに展開するこの名曲、もともとの曲が良いからこれまた素晴らしいVer.となっている。
そして満を持しての2ndフルアルバム、90年に「BEZERK」を発表する。
BEZERK
プロデュースにゲイリー・ムーアやANVILで有名な、そう、あの映画で一般的にも有名になったであろうHR/HM界の名プロデューサー中の名プロデューサー、クリス・タンガリーディスを迎えた意欲作。
しかしこれがダメだった、意欲が空回りしたような印象。本国では十分話題になって売れたようだが、日本ではB!レビューで叩かれたこともあってあまり売れなかった。
楽くてFUN、彼ららしくて決して悪くないアルバム、でも決め手に欠けるような、「名曲!」と唸らせる曲がなかったように思う。後に中古盤屋の常連となっていた。
それでも本国はもちろん、日本でもだんだん知名度は上がっていった。恐らくシングルカットされたバラード "Heaven" のB面に収録された有名曲のカヴァーが話題になったからだろう。
これを好機と見た彼らは日本のみの企画アルバムを発売する。
BANZAI!
以前に発売されたシングルのアルバム未収録曲を編集した企画盤。ここで話題になった例のカヴァー曲も収録される。
その曲とはMETALLICAの "Creeping Death" とMEGADETHの "Peace Sells"、今でこそMETALLICAやMEGADETHのカヴァーなど世にあふれているが当時は珍しく、彼らがスラッシュメタルのカヴァーを演ったということで話題になった。デイヴ・ムスティンは露骨に嫌な顔をしたそうだが、いろんな意味で今聴いても楽しめる。
「BEZERK」からはバラード "Heaven" 以外にもこの曲をシングルとして出ている。
LOVE BOMB BABY
B面2曲はライブ。
4年のブランクを経てその間にメンバーチェンジもあり、バンド名をWAZBONESに変え95年にアルバム発表するも、
WAZBONES
大して話題にならずそのまま消えていった。
もう一度バンド名を戻したという話も聞いたがその後、名を聞くことはなかった。もう時代はこういうバンドを必要とせず、対極の無愛想でコアなバンドばかりになっていた。
このバンドのアートワークは全てペプシ・テイトが手掛けていると言う。ネコみたいなトラみたいなキャラも、ジャケやロゴなどを含めたデザインも彼が作り出したものらしい。
デザイン学校の出身で「BANZAI!」を日本で企画したとき、短い期間で細かい仕事をこなして日本のレコード会社側を驚かせたという逸話がある。チャラいイメージだが本質は真面目な人間なのだろう。
とても良いバンドだった。イメージに惑わされず聴いてみるといい。間違いなく良い曲を書いている。
こんなのもあった。2004年に出たデモ音源集。
ORIGINAL SIN
ここにも "Livin' Without You" が収録されている。
一体この曲は何ヴァージョンあるのだろう?
"Star Attraction"
"Hollywood Killer"
"Livin' Without You"
"Livin' Without You"
その代表格がPOISONであるが、決してPOISONは悪いバンドではない。現代のビジュアル系にも通ずる異常にケバいルックス、メタルとは言えない軽薄さで本来のメタル好きの反感を買ったが間違いなく良い曲はあったし、各曲をチャートに叩き込み一般層にもアピールした。売れればフォロワーも現れる。1つの流れを作った偉大なバンドでもあるのだ。
そんなアメリカのPOISONに対し、イギリスからの答えとして登場したのがこのTIGERTAILZだ。
TIGERTAILZ
ウェールズ出身のBのペプシ・テイトとVoのスティーヴィ・ジェイムズ、Gのジェイ・ペッパーによって結成される。
後にアメリカ人ドラマー、エース・フィンチャムを加え、自主制作でEPを87年に発表する。
SHOOT TO KILL EP
TOKYO BLADEのアンディ・ボウルトンがプロデュースに関わっている。このEPを入手したのはかなり後で聴いたのはフルアルバムの後だったのだが、名曲 "Livin' Without You" はすでにここに収録されている。
MUSIC FOR NATIONSのマーティン・フッカーに気に入られMFNと契約、同87年に1stアルバムを発表、正式にデビュー。
YOUNG AND CRAZY
場末のゲイバーのごとき強力なルックス、カリフォルニアの晴天を思わせるPOISONの爽やかさとは対照的。音楽自体はポップで軽快、メロディアスなハードロックだが、異常にダーティなVoが場末感を増幅、イギリスのバンドでありながらLAの最も汚い部分を感じさせる。この声がもう少しキレイな声なら印象は変わったのだが。。
でも思う。これこそがTIGERTAILZの個性であると。
"Star Attraction" だの "Hollywood Killer" だのLAの場末感丸出しの曲が続いた後、切ない小曲 "Ballerina" から必殺の名曲 "Livin' Without You" が炸裂。この流れだけでTIGERTAILZのほうがPOISONの百万倍好きだった。
だらしなくて軽薄、テクニック的にもバンドとしての能力は低い。だが彼らのブリティッシュの血、陽気になりきれない無意識に現れるイングランドの湿度、アメリカのバンドには決して表現できない哀しさと寂しさがあった。ルーズなR&R、グラムロックの派手さを併せ持った軟弱なイメージが強かったが、音楽的には結構なメタルバンドだった。世間で言われるほど悪いバンドではない。
個人的には悪くない、むしろ個性と感じていたが一般的には元凶とされたVoのスティーヴィ・ジェイムズが脱退、後任に元RANKELSONのB、キム・フッカーをVoに迎え88年、名曲 "Livin' Without You" のニューヴァージョンを12インチシングルで発表する。
LIVIN' WITHOUT YOU
オリジナルの切なさはやや減退したが、よりドラマティックに展開するこの名曲、もともとの曲が良いからこれまた素晴らしいVer.となっている。
そして満を持しての2ndフルアルバム、90年に「BEZERK」を発表する。
BEZERK
プロデュースにゲイリー・ムーアやANVILで有名な、そう、あの映画で一般的にも有名になったであろうHR/HM界の名プロデューサー中の名プロデューサー、クリス・タンガリーディスを迎えた意欲作。
しかしこれがダメだった、意欲が空回りしたような印象。本国では十分話題になって売れたようだが、日本ではB!レビューで叩かれたこともあってあまり売れなかった。
楽くてFUN、彼ららしくて決して悪くないアルバム、でも決め手に欠けるような、「名曲!」と唸らせる曲がなかったように思う。後に中古盤屋の常連となっていた。
それでも本国はもちろん、日本でもだんだん知名度は上がっていった。恐らくシングルカットされたバラード "Heaven" のB面に収録された有名曲のカヴァーが話題になったからだろう。
これを好機と見た彼らは日本のみの企画アルバムを発売する。
BANZAI!
以前に発売されたシングルのアルバム未収録曲を編集した企画盤。ここで話題になった例のカヴァー曲も収録される。
その曲とはMETALLICAの "Creeping Death" とMEGADETHの "Peace Sells"、今でこそMETALLICAやMEGADETHのカヴァーなど世にあふれているが当時は珍しく、彼らがスラッシュメタルのカヴァーを演ったということで話題になった。デイヴ・ムスティンは露骨に嫌な顔をしたそうだが、いろんな意味で今聴いても楽しめる。
「BEZERK」からはバラード "Heaven" 以外にもこの曲をシングルとして出ている。
LOVE BOMB BABY
B面2曲はライブ。
4年のブランクを経てその間にメンバーチェンジもあり、バンド名をWAZBONESに変え95年にアルバム発表するも、
WAZBONES
大して話題にならずそのまま消えていった。
もう一度バンド名を戻したという話も聞いたがその後、名を聞くことはなかった。もう時代はこういうバンドを必要とせず、対極の無愛想でコアなバンドばかりになっていた。
このバンドのアートワークは全てペプシ・テイトが手掛けていると言う。ネコみたいなトラみたいなキャラも、ジャケやロゴなどを含めたデザインも彼が作り出したものらしい。
デザイン学校の出身で「BANZAI!」を日本で企画したとき、短い期間で細かい仕事をこなして日本のレコード会社側を驚かせたという逸話がある。チャラいイメージだが本質は真面目な人間なのだろう。
とても良いバンドだった。イメージに惑わされず聴いてみるといい。間違いなく良い曲を書いている。
こんなのもあった。2004年に出たデモ音源集。
ORIGINAL SIN
ここにも "Livin' Without You" が収録されている。
一体この曲は何ヴァージョンあるのだろう?
"Star Attraction"
"Hollywood Killer"
"Livin' Without You"
"Livin' Without You"
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