呑みながら書いてたら寝てしまっていた。
続き。

3年のブランクを経て(正規アルバムとしては4年ぶり)90年の4th。


TRANSITION


彼らも試行錯誤していたのだろう。ワンパターンに陥らないようにいろんなことを試していた。かなりポップな方向に向かっているのが分かる。ただし本質的なバンドのオリジナリティを失ってはいない。VULCAINらしさはしっかり残っている。魂を売ったのとは違う。幅が広がった、そう思いたい。正直つまらん曲もある。
スピード感を損なわず、ややポップで印象的なメロディを取り込んだ "Sophie" は名曲。新境地と言っていい。
全体的に初期のほこりっぽさがなくなり洗練され、初期のVULCAINらしさは少々薄まったが、個人的には「BIG BROTHER」より方向性としてはこっちのが好き。オシャレになっちゃったけどとても良い曲だと思える、それがなにより大きい。らしさを固持してつまらなくなってしまっては本末転倒だ。



これも入手に苦労した。この時期のアルバムはCD化されていてもオリジナルが恐らく5000円を下ることはない。それに確かこれは再発されてないはず。

そして92年に「BIG BANG」、94年に「VULCAIN」と2枚のアルバムを出しているが、とうとう入手することは出来なかった。高いだろうし、そもそも売っているのを見たことない。
ジャケを観る限りでは、よりポップ路線へ向いて行ったのではないかと思える。しかし「TRANSITION」を気に入った自分としてはその後どう進化したのかとても気になる。

20年の時を超えて「BIG BANG」をようやく入手。


BIG BANG


前作と同様のメジャー感にあふれた軽快さを感じるアルバム。初期の爆裂感は一層薄まったがVULCAINらしさに洒落た小粋な感じが上手い具合に合わさって、独特のフランスらしさが生まれている。ベストアルバムに収録されていた曲もあるから方向性はある程度分かっていたが、トータルで聴いてみても完成度の高い好盤。
初期のVULCAIN好きも納得の進化を果たしている。ポップさが増したとはいってもスピード感やパワーは満点だし、決して日和ってもいない。バンドの熟成度としてはここらへんが一番高いのかもしれない。
ラストの “Over The Dream” に前作の “Sophie” と同様のポップサイドのVULCAINらしさを感じて嬉しくなる。こっち側も確かにVULCAINだと思えるぐらいの。



96年に再びライブアルバムを発売。


ATOMIC LIVE


タイトルに偽りなし!爆発的な破壊力を持った爆裂ライブ、このころすでにトリオ編成になっているが「LIVE FORCE」に比べて音圧的な薄さはあるもののパワーは上回っているように感じる。選曲も悪くない。"Blueberry Blues" が入ってないのが残念だが。
VULCAINを知りたければこれを聴くのが手っ取り早い。
「LIVE FORCE」とともに強力ライブアルバム。

続いて出たのがベスト盤。97年。


COMPILACTION


入手の難しい時代のアルバムからも収録されているのがありがたい。これも初心者には嬉しいベスト盤。
通常盤とデジパック盤があった。収録曲は変わらず。
名曲 "Sophie" はこのアルバムで初めて聴いた。

そして満を持して出されたニューアルバム、98年の7th、ジャケに原点回帰の気合いが感じられる。


STOPPE LA MACHINE


だがこのアルバムを最後に消息を絶つ。

彼らの音楽性を簡単に言えば本家よりもややメロディアスなMOTÖRHEAD、ツーバスドカドカ疾走感満載のホコリっぽいパワーR&Rにポール・ディアノ風の吐き捨て型Voが乗っている。そんなイメージ。輸入盤店風に書けば「MOTÖRHEAD、SAXON、IRON MAIDEN好きは必聴!」みたいな。
この手の爆裂ハードR&Rタイプはばっちりハマってると、スラッシュバンドが束になっても適わないほどの破壊力を発揮する。初めて1stを聴いたときガツンとやられた。細かい分析など関係なく、ただカッコ良かった。
今どきのバンドに比べればそりゃテクニック的にも音質、音圧的にもしょぼい物だろうけど、メタルの破壊力はテンポや音圧だけで計れるものではないんだよ。
ガキのバカ騒ぎスラッシュバンドやラウド系バンドがシンプルなR&Rを演ってるMOTÖRHEADの足下にも及ばないのはそこにある。長い歴史を経てのみによって体得出来る「貫禄」が違うからだ。MOTÖRHEAD同様、彼らも基本的な音楽性を変えなかった。時代に合わせて自らの音楽を根本から変えるようなことはしなかった。
ただ音楽性の幅を広げようとしていたことも分かる。時期によってはポップな路線への色気を見せていたから。

長いこと、98年以降新作出していないからとっくに解散したと思い込んでたら生きてた!現在もライブやってて活動中。頑張って新作を出して欲しい。



"Ebony"


"Pile ou face"


"Rock 'n Roll Secours"


"Le Fils de Lucifer"


"Blueberry Blues"


"Sophie"


追記:
中古で見つけたから買った。
やはり98年の7th「STOPPE LA MACHINE」発表後解散していたそうで2009年に再結成、15年ぶりの8thアルバム。


V8


ジャケのイメージ通り巨大エンジンが轟音を立てて唸るような、それでいて軽快、激しさや速さだけの雑音カスバンドとは違う本物の凄みを感じる。初期のらしさに長年の活動歴の重みを加えたバンドの究極完成形を思わせる。
7thを遥かに上回るVULCAIN好きは100%納得の快作。

そして2018年の9thアルバム。


VINYLE


最終作。このアルバムを最後に2021年、再び解散する。

「STOPPE LA MACHINE」、「V8」、「VINYLE」の後期3枚、いずれもらしさは微塵も失われておらず、老いぼれた感や日和った印象もない。老いてなお盛んって感じ。VULCAIN好きは聴くべき。



VULCAINは常にVULCAINだった。フランスのMOTÖRHEADと呼ばれていたが、独自のVULCAINらしさも完全に確立していた。フレンチメタルを代表する偉大なバンドだ。



“Avec Vous”


“Call Of Duty”


“Lâchez-Nous”


“Vinyle”


“Héros”





La CompilationLa Compilation
1,750円
Amazon

Stoppe La MachineStoppe La Machine
40,235円
Amazon