今でこそ主流は小さなCD、そしてこれからはダウンロードや配信へとメディアは変わり音楽に対してジャケットの意味がどんどん無くなりつつあるが、アナログレコードの時代、その30センチ四方の空間はバンドの作品の顔として大きな意味を持っていた。70年代から80年代にかけて数多くの芸術的な名ジャケが残されている。
反対に「なんだこりゃ?」っていうような、あまりにも酷いジャケも無数にあった。
今まで数多くのク◯ジャケを見てきたが(そういうのを喜んで買っていたから)その下手さとある種のインパクト、言いようのない脱力感、いろんな意味でこれが最凶だったような気がする。当時レコード屋でこのジャケを初めて見たとき軽く放心状態になった。
放心状態と言うより「なぜこの絵をジャケに?」とか「メンバーは納得したのか?」とか「出来上がったレコードを見てメンバーは笑ったんだろうか?」などと余計なことを考えてしまったよ。
DARXON
ドイツ、ドルトムント出身、83年にVoのマッシモ・デ・マッティスを中心に結成された4人組。84年のデビューアルバム。
KILLED IN ACTION
幼稚園児でももうちっとましな絵を描くんじゃないか?
もし自分ならデビューアルバムを出すって時にこの絵は絶対使わんと思う。笑わすんならともかく。
内容はジャケほどにインパクトのない普通のイモっぽいハードロック。
1曲目のタイトルがいきなり "Danger Love!"、デインジャーラブ。危険な愛!ビックリマークまで付いてるし。
強烈なイモくささはあるが、どれも曲は悪くない。
翌85年のミニアルバム。タイトルは「TOKYO」
TOKYO
なんでいきなり東京、意味が分からん。
曲名も "Tokyo" だの "Rock Fever"、"Heavy Metal"、"Queen Of Rock" などと超直球でやりたい放題。
ロゴはちょっとカッコ良くなった。この2枚は知る人ぞ知るドイツのマイナーレーベルWISHBONE RECORDSからの発売、そのロゴが頭に浮かんだ人は結構なクサレメタルマニアだと思う。エンジニアを若き日のラルフ・ヒューベルトが務めている。
このイモバンドもこれで姿を消したと思ったが、87年にイメージを一新し再び登場する。
NO THRILLS
当時の新興レーベルENARGYと契約、確かドイツROCKPORT RECORDSのメタル専門レーベルみたいな感じ、そしてACCEPTのヨルグ・フィッシャーをプロデューサーに迎え、編成も5人組となりイメージもメジャーな感じになった。ENERGYがEMIの配給に乗ってたようだから実際メジャーアルバムと言っていい。
後にU.D.O.に参加する2人、トーマス・スムジンスキーや元STORMWINDのウルフガング "ヴォラ" ボームの姿も見える。確かヴォラ・ボームはU.D.O.の後、自らのバンドUNIVERSEをやっていた。
内容も最高。イントロに続くスピーディな "Banging" はまさにヘッドバンギングソングで、かつてのイモくさいハードロックをやっていたバンドと同一とは思えないほど良曲。
日本盤が出てもおかしくないほどの高品質なアルバムだったが、残念ながら紹介されることなく日本では全く無名のまま消えていった。
そしたら今度は92年、復活したベルギーの名門レーベル、MAUSOLEUMからいきなり3rdアルバムを出してきてクサレ者を驚かせた。
SHOUT!
とてもオーソドックスで懐かしささえ感じるHR/HM、特筆することは何もないが悪くない。前作からVo以外のメンバーは全員交代、曲も良いし音質も良い。ギタリストがやたら上手いな。
たまに思い出して聴けば笑顔になるようなCD。
このアルバムはBURRNでレビューされてた記憶がある。
これだけ長い間活動していたこと、そしてその人脈から察するに彼らは(特にVoのマッシモ)ドイツではとても人気があったのかもしれない。
個人的にも思い入れがあって忘れ難いバンドだ。
"Danger Love!"
"Banging"
"Dancing Undercover"
"Shout!"
"Danger Love (live)"
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