今、来日中のCHILDREN OF BODOMも日本でやたら人気があるが、世界的にフィンランドのバンドと言えばNIGHTWISHの人気が凄いらしい。本国ではVoの交代劇が一般的なニュースになるほどの知名度がありフィンランドのみならずヨーロッパ全域で、さらにメタル好きのリスナーだけでなく一般層をも巻き込んで絶大な人気を誇っている。
Keyのツウォーマス・ホロパイネンを中心としオペラティックな女性Voを擁しドラマティック且つシンフォニック、今までのメタルにない個性的な音楽性を持つバンドだ。
ただ、個人的には深くハマったことはない。初期の2枚持ってて数曲気に入ったが、それっきり聴いてない。クサレ者には上品すぎるのかな?

そのNIGHTWISHの現ベーシスト、マルコ・ヒエタラ。彼にこそ深い思い入れがある。フィンランドのメタルシーンでは著名な存在で若手のミュージシャンの間で伝説化されている人物、キンバリー・ゴスのSINERGYにも一時期参加していたが、実は80年代半ばに自らが中心としてやっていた伝説のバンドTAROTの中心メンバーで、しかもそこでBだけでなくリードVoも取っていた。


TAROT


84年、クオピオでマルコ、そして兄のザッカリーのヒエタラ兄弟を中心に結成される。
マルコはVo&B、ザッカリーはリードGを担当し、Drのペシュ・シナリーを加え、さらにもう1人のG、マコ・Hを加入させた4人組として活動を始める。
86年、1stアルバム「SPELL OF IRON」でデビュー。


SPELL OF IRON


当時はフィンランド国内の1マイナーバンドに過ぎなかった。ヨーロッパ型の正統派メタル。

 

88年に2nd「FOLLOW ME INTO MADNESS」を発表。
持ってない。買わなかったことを後悔している。

リリース後、Gのマコ・Hが脱退、代わりにKeyのヤンネ・トルサが加入。



このときから1G+Keyの編成となる。
93年、3rd「TO LIVE FOREVER」を発表するのだが、この5年のブランクで相当苦労し、その意味がタイトルとジャケに込められていると言う。


TO LIVE FOREVER


ここで一つの転機が訪れる。あのゼロ・コーポレーションから日本盤が発売される。過去アルバムも含めて。

初期RAINBOWやロニー時代のBLACK SABBATHの影響を受けたような正統派で伝統的な様式を踏まえたオーソドックスな様式美ヘヴィメタルは日本でも大きな話題になる。

いや、大きくはなかったかな。。

すかさずライブアルバム「TO LIVE AGAIN」を発表、強力なライブバンドであることをアピール、日本での地位を確立しつつあった。


TO LIVE AGAIN


いきなりサバスの "Children Of The Grave" でスタートするという意表を突くオープニング、しかしそこに彼らのルーツが強烈に表れている。"Kill The King" までやっていてそういう時代のHR/HMが好きならTAROTは聴いておくべき。バンド名もそこらへんから、RAINBOWの "Tarot Woman" から来ているのだろうということが伺える。
初期の名曲を網羅したこのベスト盤的ライブアルバムは特にお勧め。

 

95年の4th発表後、

 

STIGMATA

 

 

ゼロ・コーポレーションが倒産したため日本発売がなくなり、活動の詳細も分からなくなった。

(調べたら98年の5th「FOR THE GLORY OF NOTHING」までは出ていたよう、99年に親会社の音楽事業撤退によるレーベル閉鎖、と書いてあった)


2000年代に入ってSINERGYへの参加で、久しぶりにマルコの名を目にすることになる。そしてNIGHTWISHに加わり大スターとなっていった。
TAROTの活動も並行して続けていて、コンスタントにアルバムも発表している。



TAROTにおいて特筆すべきはその音楽性だけでなく、マルコ・ヒエタラの歌唱力にある。ロニー・ジェイムズ・ディオやトニー・マーティンを思わせる(多少ラフながら)この手の正統派メタルに相応しい歌声を聴かせる。
"Wings Of Darkness" はライブでも定番の代表曲中の代表曲。曲自体は派手さのない正統派ながら、PV観るとメイクしたどアップのマルコの表情が狂気に満ちていて超CoooL!!目を見開いてマイクに噛み付くように歌う表情がたまらん。

しかもさすがフィンランド人、やたら歯並びが良い。



"Wings Of Darkness"


"Love's Not Made For My Kind"


"Do You Wanna Live Forever"


こんなんも持ってた。


WARHEAD


97年の "Warhead" って曲のシングル。バッキングVoでSTRATOVARIUSのティモ・コティペルトが参加している。
 

 

追記:

2nd中古で見つけたから買った。しかもゼロ・コーポレーション日本盤。

 

FOLLOW ME INTO MADNESS

 

 

ジャケが変更されてる。どちらが良いかはその人による、これも決して良いジャケではないが変更したくなった気持ちも分かる、オリジナルは結構酷い。

これがオリジナル。

 

 

クサレ者はこっちのがいい。このヘタな絵に味わいを感じる。日本盤のはジャケとは言えない、お手軽すぎて。安っぽいベストアルバム以下。オリジナルジャケも封入しておいて欲しかった。

 

内容は素晴らしい。当時買ってたら普通に愛聴してたと思う。全てにおいて1stを上回る傑作。ヨーロッパ型正統派、パワーメタル好き、RAINBOWやロニー時代のサバス、様式美系好きにもお勧めしたい。聴けば単なるマイナーバンドとはかけ離れたポテンシャルの高さや凄みが伝わるはず。

 

 

“Descendants Of Power”

 

“Lady Deceiver”

 

"No Return"

 

 

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