歴史的なアルバム、EXODUSの1st「BONDED BY BLOOD」を出したことで有名なNYのTORRID RECORDS。



契約問題で1st発売後のEXODUSの動きを止めてしまったことからあまり良いイメージのないレーベルだが、そのTORRIDからこんなバンドが出ていた。


TENSION


85年、メリーランドで結成された4人組。ANGELのパンキー・メドウスの弟、ティミー・メドウスが在籍しているという小ネタもあったが、それはあんまり関係ない。
86年の唯一のアルバム。


BREAKING POINT


USメタルの中でもパワー/スラッシュ寄りの音だが、スラッシュメタルと言えるほど激しくはなく明確なメロディを持った正統派メタル、似ている訳ではないが感覚的にはHEATHEN、SAVAGE GRACEとかの音楽性に近い。しかし彼らほどの劇的さやヨーロッパ風の暗さや湿り気は感じない、ガツガツとした硬質感で軽快に走り回っているような感じ。
テクニックにも自信を持っているようで、良く聴くとかなり複雑なことをやっている。タイトルやジャケ絵、あるいはバンド名のように張りつめた緊張感がある。

曲がいいから退屈することなく一気に聴ける。作品としての品質は高い。1曲目 "One Nation" の違うメロディを2本重ねたギターソロは耳を惹く。"Wrecking Crew" なんて曲もあってニヤリとする。A面ラストにはちゃんとバラードを配して構成も考えている。



このバラードには興味深いエピソードがあって "Angels From The Past"という曲なのだが、これはマーティ・フリードマンがHAWAIIの前にやっていたバンド、VIXENの "Angels From The Dust" と同じ曲なのだ。(美女バンドのVIXENとは無関係)
実はこのTENSIONは元々DEUCEという名で活動していて、デビューする際にバンド名を変えたらしい。
中袋にはこんな絵が描かれている。



そのDEUCE時代のギタリストがマーティ・フリードマンだった。作曲クレジットを見ると、どちらにもGiddingsと書かれている。TENSIONのDrはビリー・ギディングスという人物、ということはこの曲はDEUCE時代に彼が作ったということになる。
それをマーティも自分のバンド、VIXENでやっていたということ。かなり曲調は変えられているが。
だからマーティはDEUCE~VIXEN~ALOHA~HAWAII、アメリカ本土に渡ってCACOPHONY、そしてMEGADETHとこれだけのバンドに関わっている。

なんかいつの間にかマーティネタになってしまった。
またいつかVIXENも取り上げよう。気が向いたら。



"Wrecking Crew"


"Angels From The Past"