年末、秋田に帰省して

秋田駅からリゾートしらかみに

乗った時のことです。



全席指定席でその時は、

帰省ラッシュの谷間だからか、

空席が結構ありました。


僕の前の座席は20代前半の青年で、

鉄道が大好きらしくて発車するまで

ホームやら列車の外や中やらを

スマホでたくさん撮影をしていました。


途中の駅で隣の線路に貨物列車の貨物なしの

車両が停まっていたのももちろんしっかり

動画に撮っているようでした。


僕が降りる駅のひとつ手前の駅で

列車の進行方向が変わるというアナウンスがあって7分間停車しました。


青年は僕の席に来て、

座席を回転させてもいいですかと

静かだけどキッパリ言ってきました。


僕は次の駅で降りるから、

座席を回転させて広く使ってもいいよと言い、

他の空いている席に移りました。


青年はホッとした顔をした後、

ホームに出てまたいろいろ写真を

撮っていましたが、

階段を渡って改札に向かい、

駅員さんに何か指差しながら

話をしています。


改札の向こうにあるスタンプを

押したかったらしいです。


小さい駅なので、僕は列車の中から

その様子が見えました。


発車まであと2分のアナウンス。


間に合うのか青年。


スタンプを押し終わった青年が

振り返って改札に向かいかけた時、

また不意にスタンプの方を向きました。


どうした!


どうやら急いでいたので、

自分の使ったスタンプ台が少し曲がったようで

律儀にそれをなおしていました。


その後、改札の駅員さんにお礼を言って

階段を駆け登って駆け降りて

列車に戻ってきました。


間に合ってよかったね。

お兄さんは、ホント鉄道が大好きなんだね。

と話しかけたら、

その青年はニコニコしてスタンプがいっぱい

押してある手帳を見せてくれました。


今回は、周遊券を使って関東から青森まで行くのだそうです。


そしたら、青森で年越しするの?


いいえ、テスト勉強があるので

年内に関東へ戻ります。


残念(笑)


リゾートしらかみに乗るのははじめてとのこと

だったので、これからは冬の日本海が見られるねと言うと、自分は北海道の海沿いの出身だというので、僕は札幌から来たと伝えると

近いですねと喜んでいました。


青年は、3月に北海道に帰省するのだそうです。


僕は次の駅で降りたので話をしたのは

ほんの数分でしたが、

なんだかうれしかったので、

気をつけてねと握手をして別れました。


列車を降りた後、手を振ろうと思って

ホームから青年の席のところを見たら

なんと、立ち上がって両手を

振ってくれていました。


お互い名前も知らず

連絡先を交わしたわけでもないので、

もう会うことはないかもしれませんが、

この車窓の写真を見るたびに、

振り返ってスタンプ台をなおしている様子や、

うれしそうにスタンプの手帳を

見せてくれたことや、

車内から両手を振ってくれた様子を

思い出します。




来月には北海道の海沿いの街に

帰省してくることでしょう。