札幌 紅茶専門店ディコヤより。-道南の夕日
 


hotstuffさんから頂いた「道南の夕日」の写真を眺めていたら、
ずいぶん昔のことを思い出しました。


16年前の3月、私は、秋田県の沿岸部に位置する能代市という
当時の人口で約5万5千人ほどの街から札幌へやってきました。


なぜか札幌という街に惹かれて、
念願がかない、転居のために、
私は、希望を胸に、津軽海峡を越えてきたのでした。
(正確には、青函トンネルをくぐって)


移転早々は、身のまわりのいろいろなことがかわったので、
それに慣れようとしてあたふたと暮らしていました。


そうして1ヶ月が過ぎたあたりで
なんとなくひと息つきたいような気持ちになったとき、
とても重大なことに気がついたのです。


それは、
札幌には海がない、
ということです♪


世間的には、当たり前、常識のことかもしれませんが、
当時の私にとっては、
結構な衝撃でした(笑)


無知な私は、分けもなく札幌にも海があると
思い込んでいたのです。


故郷にいる頃は、
実家から最寄りの海まで、自転車で15分くらいで行けたし、
7~8分も行けば、米代川(よねしろがわ)の河口と
日本海が望めるという環境でした。


海と言っても、河口ですから、そんなにきれいな水では
ありませんでしたが、
海に沈む夕日は、絶景でした。
特に夏は、
なんてこともない一日の終わりでも、
それはそれは、絶景でした。


ですから、よくそれを見るために海まで自転車で
行っていたものです。

夕日だけではなく、
ヒマなときは、まず海に行っていました。
何をするわけでもなく、
ただ、飽きるまで、あるいは、季節によっては、
寒さに我慢できなくなるまで、
そこいらに座ったり、遠くを眺めたり、
河口の流れに見入ったりしていたのです。


そういうことが、
これから暮らし続ける札幌では、できない。
なぜなら、海がないから(笑)


では、どうしたか。


ケナゲな私は、
はるばる西岡の下宿から、
翌年には1人暮らしの澄川から、
中央バスや、地下鉄南北線を乗り継ぎ、
札幌駅から汽車に乗り、
最寄り海=小樽の銭函(ぜにばこ)まで、
不定期で通い続けました。


一度は、澄川から自転車で銭函に行きました。
なんとその時は、琴似でパンクしまして、
急きょ探した自転車屋さんで修理をしてもらいました。
(修理の間中、なぜか孫が泣き続け、

それをおじいちゃんが、「今、お客さんきてるっしょ」と

言うものだから、さらに泣いて・・・・)


おかげで、無事に銭函まで行き、
キャンピングコンロでお湯を沸かし、
インスタントラーメンを作り、食べて、
海を眺め、帰ってきました。


普段、汽車で銭函に行った時は、
駅から海に向かって右側の道をてくてくと歩き、
防波堤の上を歩き、座って、海を眺め、
それに飽きると、石蔵を改造した喫茶店の2階で、
炭焼きコーヒーを飲んで、そしてまた札幌へ
帰るのでした。


そんなことを思い出させてくれた、
hotstuffさんの「道南の夕日」でした。
hotstuffさん、ありがとうございました。