苫小牧市街で、正調サイクリストと別れ、

ようやくひとりになった私は、

体力、精神力は消耗したものの、

やっと、ひとりになれたとホッとしました。


しかし、旅は、まだこれから。

まずは登別まで、と気合を入れなおしました。


苫小牧から室蘭までは、海岸線沿いの道路を

ほぼ一直線です。


左に茫洋とした太平洋、

右に樽前山(たるまえざん)の雄大な景色。


しかし、立ち止まってその景色を楽しむ余裕は

私にはありません。

ペダルを踏むことをとめれば、

それだけ、室蘭への到着が遅れるのです。


さすがに、この頃になると、

フェリーの時間が心配になってきました。

果たして、間に合うのだろうか。


そんな気持ちに追い討ちをかけるように、

白老あたりで、心が折れかけました。


帽子をかぶっていたものの、

炎天下での初の超距離サイクリングだったため、

体力の消耗からか、めまいを感じたのでした。


道端に松風2号を止め、

道路に倒れこみしばらく回復を待ちました。


もう嫌だ。

しかし、戻るのは、もっと嫌だ。

さらば、行くしかない。

オレは男だ(泣)


本当に半泣きで、

もうヨレヨレでペダルをこぎ続けました。


そんな私を勇気付けてくれたのは、

対向車線や、私を追い越していく

ドライバーのクラクションや

ライダーのピースサインでした。


これには、不思議と元気がわいてきます。

うれしいので、こちらも手を振る。


そんな見ず知らずで、

しかも、もう二度と会うことはないであろう人々との

一瞬の心の交流が、なによりの支えでした。


ようやく登別が近くなってきた頃、

だんだん夕暮れも夜の闇に近くなり、

おまけに上り坂が続いていました。


この時は、

家族連れが車の中からみんなで手を振って

励ましてくれました。


登別を越えた頃は、

いわゆるランナーズハイ状態で、

もうこのままずっとチャリで行けそう!という、

そう、躁状態でした(笑)


そして、ようやく、ようやく室蘭港が間近。

なんとか出航時間に間に合うぞ!


ところが、湾岸地帯は、

自動車専用道路が入り組んでいて、

おまけに夜で分かりづらいし、

誰かに聞こうにも、そんな場所に歩行者はいないし。


まぁ、いいかと進んでいったら、

逆走に気がつき、慌てて戻ったり。


フェリーに乗るまで、気が抜けない♪


さすがに、神もこれ以上の試練を与えるのは

哀れに思ったのか、

札幌の自宅を出て、約15時間後、なんとか無事に、

出航手続きをして、青森行きのフェリーに

乗り込むことができたのでした。


~つづく~