長官は中東の大使に転出、局長は勇退。そんなうわさも耳にする今日この頃。

 

しかし、最高幹部人事ではなく、むしろ直接の担当者の人事処遇に注目したいと思います。

 

これ、結構重要だと思います。今後の金融庁を巡る専門人材の出入りとか流動化とかを考える上で。

 

さて、すべての発端となった報告書(案)ですが、担当者のW氏は財務省出身でもなければ、金融庁キャリアでもありません。

 

日銀総合職からの転籍です。

 

人事交流で金融庁に出向してきたのですが、当時の長官(森さんではない)が「君はとても優秀だ。是非うちにきてほしい」と三顧の礼でスカウトした、というわけです。

 

ところが二流官庁のプロパー人材のレベルが低すぎたのか、あるいはW氏が結果を焦って意気込みすぎたのか、そこは何ともいえませんが、ぶっちゃけ、悪評が立った。

 

そこで、「海外でほとぼりを冷ましてこい」ということに。

 

冷まして戻ってきたと思ったら、新たな炎を着火してしまったわけです。

 

さて問題です。W氏は今後、どう処遇されるのでしょうか。

 

通常のキャリアであれば、座敷牢に押し込められるところです。

 

が、W氏は長官自ら、日銀から「有望な若手」を引き抜いたという形なわけですから、日銀の手前もあって、なかなかあんまりなことは出来ない。

 

実際、日銀の人たちはそこのところ、結構関心持って見ているようです。

 

「大臣は全く役所のことを守ってくれないとぶーぶー言ってるけど、さて、その役所の人たちはWくんのことを守ってあげるのかな?」

 

何が正解なのか、僕にも分からないけど、うかつなことになれば、「金融庁で働きたい」と考える外部人材は激減してしまうでしょう。

 

それが良いのかどうか、これまた僕には分かりませんが、そうなると、ここ最近、外部人材の獲得に力を入れてきた金融庁としては、結構な打撃でしょう。

 

なんだかんだ言って、やはり、最先端の現場を知っている外部の人材を取らないと立ちいかないというのは、正論だと思いますし。

 

とまあ、W氏人事はわりと爆弾ではないかと考えているのですが、外部人材をめぐる爆弾としては、石田問題にふれないわけにはいきません。

 

森さんのお友達コンサルから転職してきた金融庁地域金融企画室長の石田諭氏。

 

今春、南都銀行の副頭取に天下りしました。

 

こう言っては何ですが、もし生粋のキャリア官僚が副頭取に転職したら、「天下り」と批判をうけるでしょう。

 

そもそも、「室長級がそのまますぐ副頭取」という転職は禁止されています。

 

ではなぜ、金融庁は今回、認めたのか。

 

その裏には、外部人材を登用するためのグレーなうやむや人事運用があるのです。

 

石田氏の場合、「優秀なコンサルタントだから、大きな仕事を任せよう」と室長にしようとしたのですが、現状の公務員人事の規則では、民間人をいきなり所属長にするなんてことは出来ません。

 

じゃあどうしたのか。

 

石田氏、実は書類上(給料表的な意味)では課長補佐級。運用で室長の権限を与えていたわけです。

 

つまり、対外的には幹部だけど、書類的には権限のない下っ端だから、金融機関に転職してもOKです、ということなのです。

 

はっきり言えば、外部から人材を引っ張ってくるに当たり、人事制度をうやむやに運用してうやむやに登用し、その穴を利用して本来ならばアウトな形の転職をうやむやに行うという、ちょっとどうなのよ、という話です。

 

まあ、石田氏が無事に南都銀で実績を上げれば、一つの美しい話として一件落着するかもしれない。

 

ところが、石田氏がどこかの雑誌に「便宜を図って天下り」的な一発を食らったりすると、金融庁の外部人材の登用形態自体が、「最高幹部の恣意的な不透明なお友達人事」と見られかねません。

 

実際、石田氏に一発かますネタは庁内にごろごろ転がっているので、決して私の杞憂ではないでしょう。

 

これについては金融庁のせいというより、公務員制度・キャリア制度全体の問題ではあるわけですが、たたかれるのは金融庁だけ、ということになるでしょう。

 

さてどうなるのか。今後もプロアクティブに観察していきたいところです。

 

っていうか、石田氏の話って、朝日新聞が食いついてくると思ってたんだけど、全くそんな気配はない。

 

「形式的に見て、どう考えても天下りだ」と気づかないほどうっかりさんなのか、それとも朝日は経営共創基盤とべったりだから、あえて触れないのか(忖度)、どっちなんですかね。

 

(下に続く)