(1)からの続きです。

 

 でもまあ、伝統のノンキャリ検査官のノウハウでは、近年の高度化した金融産業に求められる検査監督はちょっと無理そう、というのは、残念ながらそうなのかもしれません。

 

しかし、肝心の金融監督、金融検査をどうするのか。すごくざっくり、一面だけを乱暴に切り取って言うと、金融庁は銀行とかの取り締まりを、今の「刑事警察」スタイルから「公安警察」スタイルに変えたい、みたいな感じ。すごく乱暴すぎるたとえですが。

 

刑事警察ってのはあれです。ドラマでおなじみ、殺人事件が起きた。腕利きデカが職人芸で容疑者宅をガサ入れして、取調室に引っ張ってゲロさせる。逮捕。敏腕警察をアピールすることで、犯罪者は見逃さず逮捕することで、悪人たちは犯罪を手控えて、日本は平和に。っていう。

 

ところが、最近の国際テロにはどうにも歯が立たない。犯罪が起こる前から海外当局と連携して、「最近の国際情勢だと、どんな勢力のやつらがどの地域で問題を起こしそうか」っていうのを分析して、実行犯になりそうな奴、支援者になりそうな組織、そういうネットワークの情報を収集し、ここが動いたらあっちも動くかも、みたいに、ネットワーク全体を抑えて事前に手を打たなくてはならない。対テロ的には。

 

金融も同じです。個別の銀行に行って腕利き検査官が「不良債権を隠してるな!」と怒鳴ってもねえ、今や、どうなのか。

 

最近のはやりは、海外当局と連携して情報交換し、金融機関同士のつながりや、金融機関と他業態とのつながりやそれぞれが及ぼす影響、国際情勢の変化から受ける影響を、全体として分析して、事前に問題に手を打つ。

 

国際的規模で裁量行政をやる、パワーアップして昔に戻る、とも言えます。

 

まあだいたい、どの銀行も海外買収を重ねて国際化しているんだから、日本だけ見ても無意味です。監督局の英語が使えるキャリアが各国の監督当局のカウンターパートとテレコンで情報交換して、金融グループ全体として世界的な視野で見ていかないと、とてもじゃないけど金融機関の経営状態なんて把握できません。そういう意味で、監督局と検査局の一体化は必然なのは間違いありません。

 

 もちろん、伝統的な検査テクニックも保存しておく価値はあると思いますよ。全部なくさず、1チームぐらい残しておいても良いんじゃないか、ともおもいますが。財務省が予算を付けてくれるならね。