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金融庁の基礎知識
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概算要求の季節です。早速、金融庁の組織変更も発表されました。これまで監督・検査両局の統合再編の準備を進めてきたわけですが、さてこれからの金融検査官はどうなるのか。
ドラマで大活躍する金融検査官たちが所属する検査局はノンキャリと、バブル崩壊後の不良債権隠しを摘発するために民間金融機関から採用された中途組の牙城で、一子相伝、徒弟制度の厳しいところです。
チーム単位で日本列島を西へ東へ。基本的に霞が関の本庁舎内で仕事をすることは少ないので、キャリアの管理は行き届きません。っていうか、どう管理していいのか分からない(自分で検査に入ったことがないから)。
ざっくり言うと当時の検査の手順は、まず企画官という人、つまり、「今回の検査は何をテーマにしてやろうか」と考える人が何を調べるか、どういう切り口で調べるかを決める。
それを元に、指導官という中間管理職が、実際に検査を行う検査官に「今回はこうしろ」と指導して、検査官は金融機関に、検査の2週間前に重点事項を通告する。金融機関は、検査官が入る会議室に関連資料を用意する。ファイルを何百冊も積んでおく訳です。
検査官は、関連資料ファイルをいちいち全部は読まない。そんな時間はない。あくまでファイルは検査官の質問に対し、銀行側がすぐに関連資料を出せるように、事前に積んでおく物。
検査官が「これこれ関係の資料を出して」と指示して、銀行が持ってきたファイルを熟読して、ヒアリングや追加請求をする。で、検査官の調査結果を審査課で分析して、結論を出す。これで終わり。処分かどうかは、その後、検査報告書を監督の方で見て決める。
検査のやりとりは警察の取り調べと同じで、全部、書面にしてある。キャリアは基本、その書面を読むだけですね。
最初から特定のテーマを詰めようと思って攻めて見つける場合もあれば、ひょんな脇道から飛び出る場合もある。
そこからいろいろ詰めていくわけですよ。「この資料出してください」「無いの、出せないの?その理由は?説明してください」。ということをやるらしい。
で、そういうノウハウはまさに徒弟制でベテランから新人に受け継がれていくわけです。
とにかくチームは、問題点を見つけて指摘してなんぼの仕事ですから、世の中が平穏になるにつれて、だんだん重箱の隅をつつくような追求が目立ってくる。不良債権の処理が進み、景気も回復してくると、不良債権自体が激減してくる。暴こうにも、存在しない。
そりゃ仕方ないよね。銀行側だって、指摘されたことはどんどん直していくんだし。しょうがないから、社内体制がきちんと整備されているかとか、その社内手続きがきちんと守られているかとか、そういうのを調べるしかなくなってくる。
で、だんだん重箱をほじくり返す作業になってくる。まあ、それがかの有名な「金融処分庁」批判につながっていたわけです。
これに対して歴代の検査局長(と長官)は、「まあまあ、もっと穏やかにやれよ」と検査官に訓話することで対応しようとしてきたんですね。「検査の目的は、処分することではなく、経営コンサルタントのように、一緒に問題を解決することですよ」なんつってな。
しかし森信親検査局長(長官になる前の話ですよ)は違った。「おまえらもう、検査に行かなくていいから」。検査自体を止めちゃった。それでオンサイトモニタリングに切り替え。要するに適宜電話を入れて様子を聞く、らちが明かない時だけ、直接乗り込んで検査する、って感じに。
当時を知る人は「文化大革命みたいだった(職場の空気が)」と言ってます。そりゃそうでしょう。これまでチームのボスとして君臨していたベテラン検査官が、いきなり仕事が無くなり、長年蓄積されてきた検査ノウハウという職人芸が全く役に立たない職場に一変してしまったんですから。検査官は恨みの声を込めて、森批判を(雑誌に)リークするわけです。
(続きます)

