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森信親長官の金融庁は金融機関をどうしたいのか?
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日経新聞をはじめとしたマスコミがあおりっぱなしのビットコインですが、実のところ、見当違いも甚だしい分析ばっかりです。
マスコミの皆さんは、「成長産業として積極的に育成するか/消費者保護のため、慎重に取り組むか」「実態を伴った経済行為/ただの投機」という軸でしか見ていないんですが、それって二の次なんですよ。
日本も含め、世界の規制当局はまず何より、「テロ対策・脱税防止」という視点で考えています。そこをクリアーできれば、「産業育成」も可能になる、というのが順番です。
まず、なぜビットコイン規制がテロ防止なのかというところですが、太古の昔から刑事ドラマを見ればわかるように、お金の流れを抑えることは捜査の基本です。
急に金回りがよくなった、急な支出があった。そういうやつがだいたいにおいて犯人ですよね。ついでに言うと、犯罪者の預金口座と金の出し入れがあるやつもだいたい悪人。先手を打って、犯罪を起こす前に芋づる式に別件逮捕する。
現実世界も、そこんとこは変りません。
だから金融機関は免許制または登録制なんです。金融機関は利用者が反社会的かどうかチェックする義務があり、警察から頼まれたら積極的に捜査協力をしなくてはならず、少しでも不審と感じた取引があれば、自発的に警察に報告しなくてはならない。
きちんと不審者情報を報告しないと、すぐ叱られます。なんであんたのとこだけ、情報提供が少ないの?って。いずれ難癖をつけられて、行政処分とか登録取り消しになりかねない。他の金融機関と比べてまじめに報告していない、と警察に判断されれば、それまた同様です。
ざっくりした相場観でいうと、所轄の刑事課長でも「あいつは何だ、捜査に非協力的だ」とねじ込めば、うまくやれば銀行の支店長ぐらいなら飛ばすことができるイメージでしょう。
というわけで、ビットコインのような、流れが把握しずらい「価値」の利用が広まっていくのは、警察的にはマジ勘弁、としか言いようがありません。
実際、海外ではテロ組織がビットコインで支持者から支援金を募金してもらったり(すでにICOは実用化されてるってことだよ!)、ビットコインで武器の代金を支払ったりという事例が報告されています。
日本と違って、テロが日常茶飯事の欧米当局はビットコインを、深刻に受け止めています。警察的な意味で。
日本がビットコインの法整備を始めたのも、別に産業育成のためではありません。「テロとか犯罪組織のマネーロンダリングを防ごうぜ国際条約」の定例会合で、名指しで「日本は仮想通貨対策をいつまでたってもまじめにやらんのはファッキング。次の会議までになんか法整備しなかったら、ぶっ殺す」と、名指しで批判されたからです。
で、日本がやったのが、欧米諸国を参考に、ビットコイン取引所を登録制にして、反社会勢力の利用を排除し、不審な取引を警察に報告させるようにした。つまり、ビットコインの流れを、警察が把握できるようにしたわけです。
もっとも、そうすることで果たして本当に、ビットコインの流れを追跡することはできるのか?
わかりません。
だから、各国とも、困ってしまっているわけです。
現状は様子見しかない、という状況です。当面は様子を見つつ、仮想通貨というものが警察当局がコントロールできるものだという判断が出れば、一気に話は進むでしょう。
逆に、いろいろ試してみたけれど、コントロール不能だ、ということになれば、一気に禁止の方向に行く可能性は高いでしょう。
禁止しても、地下に潜っていくだけで意味がない?そうですね。だからどうした。
もちろん、根絶はできないでしょうが、それは麻薬の扱いと同じってわけです。根絶できなくてもダメなものはダメだし、抑え込むしかない。そうそう、利用者の文化的バックグラウンドとか考えると、仮想通貨と麻薬って、そっくりなツールですよね。
つまり何が言いたいかというと、仮想通貨に「国が把握することができない、自由で秘匿性の高い、権力から独立した通貨」となることを期待しているのなら、そんなのありえないから、ってことです。経産省はともかく、警察庁が認めません。

