廃止が決まった金融庁検査局。半沢直樹の黒崎検査官に代表されるように、世の中が抱く金融庁のイメージそのものなわけですが、その内情はなかなかシビレる感じです。

 

 

というのも10月号のFACTAで、「検査局廃止・焼け太り金融庁」と批判されました。

 

 

どういうことかというと、バブル崩壊後の不良債権隠しを摘発するために増員に増員を重ねてきた検査局。いまでは不良債権もすっかりなくなって仕事がなくなったんだから、さっさと廃止しろ、リストラしろ、というご指摘です。

 

 

いやまあ、おおむねごもっともなんですよね。

 

 

ご指摘のように、不良債権はもはやどこにも隠されていないので、銀行に検査に行っても、難癖を付けるしかありません。「何でもイイから引っかけて指摘事項を作り上げろ」が検査チームの合言葉です。

 

 

そんなこんなで森検査局長(当時。いまは長官)がぶち切れて、「もうおまえらは外に出るな、座ってろ」と定例立ち入り検査を廃止して、電話聞き取り(オフサイトモニタリング)と特別検査(何か特別なテーマがあるので臨時にやる検査です)だけにしてしまったのも記憶に新しいところ。

 

 

では現在、黒崎検査官たちは何をやっているのか。9時30分に出社して、11時30分に早めに昼ご飯を食べに行き(港屋が混む前に、かな?)、18時15分の定時で退庁。という人が少なくない。

 

 

仕事がないから暇なのか。そうでもない。立ち入り検査(特別検査)の日には急に体調を崩して休みを取る人が急増するのは公然の秘密だ。

 

 

というより、そもそも今では、心の風邪をひいてしまった人に、癒やし効果を与えるため、とりあえず異動させておく先として活用されているありさまだよ。

 

 

リストラしろ?そうですね。でもできないのが公務員です。再教育して別の仕事をさせろ?それはいやがる人が多いんですよ。いやいや。

 

 

まあある意味、民間企業と同じで、時代の変化でスキルが役立たなくなったベテラン世代をどう処遇するか、という問題でもあるんですね。

 

 

もちろん意欲的に、森長官が提唱する「先進的なマクロプルーデンス的検査手法」を学ぼうという検査官もいるのですが、多くは「伝統is正しい、changeはお断り」と、おまえらメガバンクかよ、とつっこまざるを得ないぐらいに守旧的な態度です。

 
 一応弁護しておくと、森長官が素っ頓狂なことを言いだしたワケじゃなくて、世界的に、昔ながらの検査手法はもう役に立たないので、マクロプルーデンス以下略に切り替えましょう、と言う流れになってます。旗振り役の一人がイエレン米FRB議長です。
 
 さて問題は、「いやだ」「変化はお断り」とごねられたら、それ以上強く出られないところです。公務員だから。

 

 

検査官はざっくり350人ぐらいいて、半分は地方財務局(財務省の地方出先機関です)から引っ張ってきた人々です。

 

まあここは財務局に戻すとか、庁内の総務系バックオフィス部門に移すとか、何とか再配置はできなくもないんですが(それだって限度があるけど)、問題は残り半分、民間金融機関から転職してきた人たちです。

 

 

金融庁草創期に、不良債権の摘発は「餅は餅屋」と言うことで民間金融マンを大量採用したのですが、この人たち、通常の公務員業務はやったことがないので、検査官の仕事がなくなっても、他に移すことはできません。

 

そして問題は、民間出身だからと言って頭が柔軟とは限らない。むしろ、新しいことに対しては、「民間を知らないキャリアの馬鹿が、意味不明なことを言っているぞ(笑)」ぐらいの対応です。

 

 

まあこの人たちも上の方が定年にさしかかってきたので、十数年かけて、庁内から消滅していくんでしょうけれど。

 

 

というようなことを森長官は考えているに違いありませんね。たぶん。私個人としては、もちろん検査官の皆さんは立派な方々で、検査局廃止なんてとんでもないと思っていますよ。

 

 

あと一点、FACTAの詰めの甘さは指摘しておきたい。

 

同誌の批判記事には「監督局長が総括審議官より格上であることは明らかだが(中略)どっちが上か分からないという」とありましたが、そんなの明白に明確で確定的に明らかじゃないですか?分からない人なんているの?(報復が怖い、的な意味で)

 

結論から言うと、3分の一は優秀で意欲的な検査官、3分の一が疲れた地方公務員出身者、3分の一が老害的な民間出身者。ですかね。超簡略化しすぎですけど。