なんだか最近の金融庁は銀行系の個人カードローンを激しく締め上げてます。銀行に検査に入っていやがらせをしたり、このままやるなら規制を強化してひどい目に合わせるぞ、と脅したり。

 

 やはり消費者保護は大切ですからね。ってわけはありません。消費者庁じゃないんだからさ。

 

 いやもちろん、全く関係ないって訳じゃないけれど、メインの理由はそこじゃない。銀行のアパートローン(あなたも大家さんになって大儲けしよう!ってやつですね)とか不動産融資を抑えようとしているのと、大本の理由は同じです。IMF対策ですよ。超大まかにまとめすぎですが。

 

 まあ今月、国際通貨基金(IMF)の年次総会が開かれます。

 

 ざっくり言うと、IMFはアメリカとEUの仕切りで動いている国際機関で、経済的にピンチになった国にお金を貸してやる代わりにアメリカ流の超抜本的経済改革を強要するという、サラ金よりもよっぽど恐ろしい組織です。先代の専務理事が婦女暴行で逮捕されたぐらい、攻撃的な組織です。

 

 で、IMF普段から世界の経済情勢を分析して、誰に頼まれたわけでもないのに、「あそこの国はどこどこがダメだから抜本的な改革が必要だ」という研究レポートを山ほどこしらえては四方八方に投げつけています。

 

 そんな国際機関の今年の年次総会の議題は、リーマンショックの再来の金融危機に備えて色々議論しよう、たとえば、いざという時に貸せる金を増やすため、各国の出資金を増やす必要があるのかどうか、とかそんな話。

 

 で、ここで重要なのは、このIMFは2015年頃、つまり米国が金融引き締めに着手しはじめてからずっと、そんな話ばっかりしてるわけですよ。リーマンの再来以下略への対策が必要じゃないのかい、という。

 

 そもそもなんで、リーマンショックみたいなのが再来する可能性があるかというと、いままでアメリカは超低金利だったから、金融機関や機関投資家はただ同然で調達(借金)した資金を新興国の人々に高利融資してもうけていたわけです。

 

 ところが、イエレンさんが今、どんどん金利を引き上げて行っている。

 

 そうすると、金融機関以下略は、新興国への融資を回収して自分の借金を返済するか、新興国により高い金利を要求するか、どちらかをする必要がある

 

 そうなれば、急に金を返せ(あるいは利子をもっと払え)といわれた新興国は金融恐慌に見舞われ、そんでもってそれは世界全体に影響が出るだろう、っていう話ですね。

 

 で、実際、そういうことが起こるのかどうかって言うのは、実際、あとになってみないと分からないわけだけど、少なくとも世界の当局の皆さんは日本金融庁も含めて、それなりにそうなる危険性を警戒しているわけですよ。結構真剣に。

 

 まあそりゃそうだ。リーマンの頃に現場の最前線にいてひどい目にあった世代が、今や中上級の幹部だからな。それにたしかに、こういうのは悲観的に準備をしていたほうがいいもんだけどさ。

 

 しかも実際、万一危機が起こった場合、本当にやばい。というのは、リーマンの時は金融緩和するとか、中国に財政支出を増やしてもらうとか、何かしら打つ手があった。だから、何とか乗り越えることができた。

 

 ところが今は全く丸腰。すでに金融緩和は限界までやっているし、中国にも余力はなさそう。むしろ、中国が火元になる可能性だって少なくない。

 

 で、IMFではそういう危険に備えて、各国当局は、それぞれの国の金融機関が危険なまねをしないよう見張っとけよ、ということになっているわけですよ。

 

 危険なまねとは何か。リーマンの時は何が起こりましたか?サブプライムローンですね。ダメな個人に不動産融資をしてみたら、やっぱりダメだった。

 

 というわけで、個人向けカードローンとかリボとか、アパートローンとか、そういうのに血道を上げる銀行は超アウト、ってわけですよ。

 

 だから、消費者保護とかそんな生ぬるい問題意識でなく、結構差し迫った、早いうちに何とかせにゃならんと言う強めの問題意識で臨んでいるわけですよ。きちんとやらないと、日本がIMFの会議で「やる気あんのかボケ」とつるし上げを食らうから。

 

 「消費者にきちんと説明する必要がある」とか「追いつめられた利用者がヤミ金に追いやられてしまう」とか、そーゆーのどーでも良いから。ピントはずれも甚だしい。

 

 銀行にはそういう分野は、一定の水準以上はやらせない。自分の自己資本で尻ぬぐいができない水準を超えてやらせない。そういう結論ありきなのです。まあその水準」っていうのがどれぐらいなのよ、っていうのが議論のポイントでもあるんですが。

 

 ついでに言うと、IMF様はこれまた頼んでもいないのに、「日本は地銀の体力がぐんぐん落ちて言っていて先行き真っ暗なのがウィークポイント。俺たちに迷惑かける前に何とかしろ」と言う審査報告書も発表してくださっています。

 

 要するに森改革だの何だの言われているけど、IMFが何とかしろって言ってるから、金融庁は地銀を何とかしようといろいろ努力している面もあるわけですよ。より正確に言うと、金融庁が「こりゃやべえ」と思っていたところに、IMFからも「やばくね?」と追い打ちをかけられ、尻に火がついているわけです。

 

ところで日経新聞は、「IMF年次総会では中国が出資金の額を増やして、発言力を高めようとしてくると見られ、それが認められるかどうかも議論の焦点となると見られる」と書いていましたが、んなわけないじゃん。中国はIMFレポートで「中国の借金漬け体質こそが一番の不安定要因だよ」と激しく批判されたばっかり。出資金を増やしてる場合じゃないからね。