抗がん剤治療2サイクル目開始直後(2023年11月29日)のミーティングでは、ドクターAから開口一番、「どう?歩ける?」と聞かれた。

(この人は私のどこを見ているのだと思いつつ、)「歩けるどころか毎日ジムに行っている(この時は毎日だった)し、しっかり食べられている。それより抗がん剤の副作用が全く大変じゃないので、薬を強くしてもらうことは出来ないか」と聞いたら、何を言っているのか、という表情で「これがあなたの適量よ(後で再度聞いた時は、Maxよ)」と言われた。

 

日本で昔、抗がん剤治療を受けた義兄が、若く体力もあったので薬の量をMAXにしてもらって8ヶ月入院治療をしたら、手術の時にはがんが消えていた、と聞いていたので、副作用が少ない状況なら薬を増やしてもらえるかと思ったのだが、無理だった。それくらい元気だった。

便秘を除いては。

 

 

 

 

そのミーティングの一ヶ月後の12月29日にCTスキャンを撮り、年が明けた1月3日、ドクターAとのミーティング。まずは様子を聞いてくるので、基本的にとても元気だが、便秘が酷いと伝えた。

 

その後ドクターが、CTの結果について「がんが思ったほど小さくなっていないの。このままだと腸閉塞を起こしかねないから”バイパス”手術を勧めます。次のキモセラピー(抗がん剤点滴治療)を延期して、すぐにでも手術をした方がいい。」と。

「バイパス」?腸のバイパス手術って何だろう、と考えたが、要するにストーマ(人工肛門)にしろ、と言っているのだった。

 

人工肛門。正直、とてもショックだった。

人工肛門は直腸がんの場合に必要になることがあると聞いたが、私は結腸癌だから関係ない、ラッキーだと思っていた。便秘が酷かったのでそれを大げさに伝えすぎたかと焦ったが、CTを見ての結論だったそうで、私の症状は関係ないとのこと。

それでも、状況が改善すればいつでも手術はキャンセルできる、と言ってくれたので、手術までに絶対に便秘を治して見せる、とその時は意気込んでいた。
 

しかし同じ日の午後、外科に行き、ドクターが不在だったのでナースとミーティング。もうストーマ手術をする前提で話が進んでいく。今手術をしなくても、このまま新しい薬(アバスチン)を含む治療を進めたら更に便秘は酷くなり、腸閉塞でERに行くことになるかもしれない、ERだとすぐに手術をしてもらえないかもしれないから危険、とのこと。

理解はできる。実際に断続的な強い腹痛が続いていて、これはただの腹痛ではないという気もしていた。ただ、ストーマ手術ではなくステント(腸の中に金属のチューブを入れて腸を広げるもの)を入れる手術ができる可能性もあるとのことで、一縷の望みをかける。手術は一週間後の1月10日とのこと。

 

翌日また病院に行き、ナース3人とミーティング。

10日の朝7時に病院に来てね、手術をして回復するまでの数日は入院です、それまでの食事制限は、手術前日の夜中までは繊維質とナマモノを控えればOK、その後は絶食よ、と手術前提で話が進む。

(食事制限の内容が昨日聞いたものと違って混乱。昨日は、これから手術までの一週間は液体だけにしてね。カロリーが摂れないというのなら、液体にプロテインか油を混ぜて、などと無茶苦茶なことを言っていたのだ。しかも同じナースが。)

 

ならばステントは、と思って聞いてみる。

私「ステントを入れる選択肢があると聞いたのですが。」

ナース「手術の日の朝ドクターに言ってください。」

私「私は最初からステントが良いと言っている。ステントにできないの?」

ナース「ステントを入れる手術はここではやっておらず、D大学病院でしかできない」私「ステントに決まったらD大学病院に転院ということ?」

ナース「D大学病院に紹介状を書くが、それが受領されるまで短くて数週間、向こうのスケジュール次第なので、手術まで長いと数ヶ月待つことになる可能性もある、でも今は危険な状態かもしれないので、それでは遅すぎる」

 

意味がわからない。要するにこちらの意思とは関係なく、この病院でストーマ手術を受けるしかないと言われているのだ。最初からそう話を持っていけばわかりやすいのに、とにかく担当が何人にも分かれているので病院内での情報共有などができておらず、患者との意思疎通を図るつもりがないようにすら見えた。

 

さすがに涙がふた粒くらい出た。ナースと夫に慰められた。

 

 

しかしそこで参ってしまう私ではない。

帰宅後、ストーマについて調べまくる。病気を告知されたときと同じで、調べれば調べるほど気持ちが落ち着いてくる。漠然と恐れたり慌てたりしていてはだめだ。きちんとメリット・デメリットを認識し手術後の生活を具体的に想像していくと、少しずつ覚悟ができてくる。

 

大腸からつなぐコロストミー(結腸ストーマ)ではなく、小腸からつなぐイレオストミー(回腸ストーマ)なので、水分量が多くなり(中身を出す頻度も高くなる)、脱水を起こしやすいので水分補給が必要。

今はいろいろ便利になって、袋にもいろいろな種類があることなどわかってくる。スポーツも水泳も銭湯も大丈夫だそう。

そしてそして、何と言っても便秘とは縁が切れる!

 

 

Neneがきちんと食事を摂って、治療に専念できる体を作るための手術よ、とナースは言った。そうなのだ、がんの治療が最優先事項なのだから、私は確実に前進しているのだ。また、がんが寛解したら元に戻せるという。

母が、必要だったらいつでも飛んでいくからね、そうじゃなくてもいつでもそばにいるからね、と言ってくれた。家族も姉たちも、大丈夫、大丈夫、と全面的に応援してくれている。なんて私は恵まれているんだろう。

 

 

 

 

ナイス長男。

 

 

♫  おまけの写真コーナー  ♫

クリスマスシーズンは、一般の家が全力でライトアップする通りがいくつも現れます。「Q:飾り付けに何時間かかりましたか?」「A:10人で17時間」など、FAQボードまでありました。家の中で華やかなパーティをしている様子も丸見え(見せている)、という家も。