抗がん剤治療が始まる数日前に、薬局からカペシタビン(因みに、ケイプサイタビンと言わないと通じない)が自宅に届く。朝晩の2回、3錠ずつ服用を2週間続ける。

当日朝、3錠服用して病院に行ったら、今夜から飲み始めれば良かったのよ、とナースに言われた。(その時初めて聞いた。)

 

点滴は点滴室というところで受けるのだが、長時間の点滴用にカーテンで仕切られたスペースが5つほど、その他は仕切りなしでただリクライニングチェアが5つほど並んでいるスペースがあった。

抗がん剤一種類(オキサリプラチン)の点滴だとだけ聞いていたので、1時間、長くても2時間くらいで終わるのだろうと、夫はパソコンを持参して仕事しながら付きそってくれる予定だった。しかし、私の健康状態や血液検査などから今日投与できるかを検討、OKならラボに薬を注文して、届いたら投与開始、という流れで、少なくとも午後までかかるという。当然カーテンで仕切られたスペースの一つに入る。

 

夫はとりあえず帰宅し、私のパソコンなどを持ってきてくれて、また帰宅。

点滴中はなぜか右脇が痛んだので(点滴は左腕にしていた)、持参した鎮痛剤を飲んでいいかと聞いたらあっさりOK。点滴の場所が痛んだが、他はそれほどでもなかったので、パソコンで仕事をしたり、本を読んだり動画を見たりで、退屈することはなかった。

 

時々ナースが様子を見に来るが、その度にいろいろと関係ないおしゃべりをしていく。場を明るくしようとする気持ちと、単におしゃべりが好きなのだろうが、楽しい気分になる。ナースはヒスパニック系とフィリピン系が多いイメージ。英語とスペイン語とタガログ語が飛び交う。

 

点滴の流れとしては以下のような感じ。

 

7:30 病院到着。体重、血圧、熱などを測り、血液採取。問診も。

10:30 カルシウム・マグネシウム・フラッシング投与開始

12:00 オキサリプラチン投与開始(4時間)

16:00 カルシウム・マグネシウム・フラッシング投与開始

18:00 終了

 

フラッシングというのはマグネシウムなどの液を押し流すような点滴で、5分くらい。夜までかかるとは思わなかったが、ラボから薬が届く時間によるということで、2サイクル目以降は徐々に短くなっていった。

 

心配していた副作用だが、手のひらがピリピリするくらいだった。ただ、冷たいものどころか常温のお皿を触ってもピリピリするので、ちょっと面倒。

あとは、倦怠感。これが副作用なのか、単に一日リクライニングチェアに座っていたからなのかは分からない。食欲はちゃんとあったし、いずれにしても、1日目は心配していたほどの副作用は感じられなかった。

 

翌日から数日間は以下のような感じ。

・食欲不振 → 大腸炎の症状の名残もあったようで、徐々に回復

・腹痛 → 同じく大腸炎の症状の名残。痛み止めでなんとか凌ぐ

・倦怠感 → 貧血だったようで、レバーを食べたらわりとすぐ回復

・吐き気 → 処方された吐き気止めで解決。その後薬も不要になる

 

病院からもらった抗がん剤の副作用リスト(何枚にもわたって細かく説明が書いてある)を、ざっと読んだだけでげんなりしていたが、本当に有り難いことに、手のひらの痺れ(その後、足の裏の痺れも加わるが)くらいだった。

抗がん剤点滴の翌日から自分の運転でジムに行けたし、その日に日本から飛んできてくれた母とほぼ毎日散歩にも行けた。母と一緒に趣味のクラスにも行けたし、みんなで外食にも行けた。不思議と2サイクル目以降の方がずっと元気になったのだが、それでも母に私が大丈夫であるところを見てもらえて良かった。

 

母は一週間滞在してくれた。たくさん話した。その一週間で、私は大丈夫、という気持ちがしっかり定着した気がする。

 

 

 

しかし、抗がん剤治療が始まったら普通の生活はできなくなると思い込んでいたら、とりあえずはどうってことなかった。この先は分からないが。

副作用は本当に人それぞれなのだ。覚悟を決めることは大事だけど、決めつけて闇雲に恐れてもいけない。

 

 

※現在7サイクル目だが、足の裏の痺れが強くて長く歩けなくなったこと、手のひら足の裏が荒れること、そばかすが増えたことくらいで、それ以外は脱毛もないし吐き気もない。時々食欲不振の波が来るが、その後ちゃんと体重を戻せるレベルで、だいたいこの時と同じような状態が続いている。本当に有り難いことだ。

 

 

 

♫  おまけの写真コーナー  ♫

母が驚いたアメリカの巨大シクラメンと、大きさ比較のための母の手。