私の所属している、ある医療チームに
「頼ることは何もない、と言うほか何もお話にならないので心の内を聞くことができず困っています。」
と相談がありました。
相談対象の方のお名前をみるとなんと、私の患者さん!
1週間前に動けなくなり、別の科に入院されていたのです。
「スタッフから私に連絡くれていればなあ。彼にとって私じゃまだダメだったのかなあ・・・。」
前任の転勤により
私が担当して2ヶ月、2回診察しただけでしたが、
口数少なかった彼と2回目の診察時にはゆっくり話ができてホッとしていたところでした。
彼からの信頼を得られていなかったのか、と嘆きつつ病室に向かったのです。
ですが、彼は私の顔を見るなりにっこりされました。
「先生が来てくれるとは思わんかった」
安心した顔をされました。
ありがとう。ありがたい。よかった。・・・私の心の声です。
スタッフから、「こんなに会話されたのは入院して初めて」という感想をもらい、
試行錯誤で一生懸命コミュニケーションを取ろうとしていて私の存在を忘れていた、ということだったんだろうと推察しました。
その後、スタッフと打ち解けて話されるようになり、自身の病状や治療計画への受け入れも前向きにとらえてくださるようになったそうです。
私の面会が「きっかけ」になって会話が進んだことを光栄に思いました。
心の内を他人に開くなんて、なかなか難しい事なんだろうと思います。
それを教えてもらい、心を開いて接して頂くということは、本当にありがたい。
本当のところを教えてもらえないとサポートできないからです。
心に違和感やズレが生じたまま、治療計画を進めることはできません。
心にどうすれば接することができるだろう。
「きかっけ」をいつも探しています。
タイトルの、季節の絵はがきと交換日記は、仲良くなるための「きかっけ」作りです。
もちろん、許可をいただいて始めています。
自分自身が楽しいものでないと、という思いがあるので
絵はがきを選ぶときは結構、真剣です。
季節に限らず絵はがきを交換し合ったり、
クリスマスカードと暑中見舞いの絵はがきのみだったり色々ですが
仲良くなれるのはお互い嬉しいものなのじゃないかな、と思っています。
自分のことを上手く表現しづらい方には交換日記を提案してみます。
交換日記、というとなんだか大変そうですが、
体調などの記載のついでに、その日に行ったことなどを書き込んでもらいます。
よくある病状日誌と同じです。
病状日誌ならばそれを見ながら今後のことについてアドバイスしますが
交換日記の場合は、私に起こった出来事も少し加えて返すようにしています。
一方通行でない、ということが「きっかけ」となると信じて。
もちろん、全ての方々に
絵はがきを書いたり交換日記をしたりのパワーは有りません。
でも、普段は普通にコミュニケーションがとれている方でも
距離感が生じてしまうような場合は
絵はがきや交換日記に限らず、なにかの「きっかけ」を探しています。
返信があると私も嬉しい。
そうやってお互いがサポートし合っているのかもしれません。