呼吸器内科では多くの人に抗がん剤の治療をします。
抗がん剤治療を行うには「条件」があり
白血球の値も低いと「できない」というケースもあります。
抗がん剤治療をくり返してきたその方は、病状が進行し
抗がん剤治療変更するために入院してきました。
しかし
白血球が少なく、条件をクリアできませんでした。
「やって欲しいんやけどなあ」
残念そうに仰います。
一旦退院してみましょう、とお薦めしましたが病気の進行が気になり
「もう少し待って、採血してくれる?」
とのこと。
当時の入院期間は少々ゆとりがありました。
数日待って、もう一度採血をしました。
・・・が、やはり条件をクリアできません。
もう数日待って採血しました。
やっぱりダメです。
「う~ん。何でなんかなあ。やって欲しいんやけど・・・」
本人も主治医も残念でなりません。
そして二人は流れをうまく変えなければなりませんでした。
『退院して、思いっきり遊んできてくれません?白血球が低くても身体は元気なので勿体ないです。』
主治医である私は、そう提案しました。
患者さんはとっても良い方でした。
「わかった!こんなことしてても楽しくもなんともないから、思い切って遊んでくるわ」と今度は二つ返事でした。
そうして1週間後の外来を約束したのでした。
1週間後がやってきました。
「先生がびっくりするほど遊んできた。ゴルフに旅行に。楽しかった~!病気のことはほぼ忘れていたよ。」
患者さんが楽しそうにされていると、こちらもウキウキします。
二人で採血データを確認しました。
正常値を見て、二人でにっこり。安堵しました。
何回やっても上手くいかないときは
「待て」のサインです。