今日は東京はすごく晴れて暑いです。
毎朝学校へ行くのに駅まで歩くのですが、いつもだいたい同じところでホームレス風のおじさん(おじいさん)に出会います。

かばんは無くて、浅黒く日焼けした顔、汚れたねずみ色の服、スニーカーと野球帽。

道路わきのベンチやビルの階段に座り込んでうなだれているか、横たわって寝ています。

ある日、彼は帽子をとって脇に置いていたのですが、私はそのとき、すれ違いざまにはじめて気がつきました。帽子のつばの裏側に、黒いマジックで、


  レオ

あきらめない

  かつ


と大きく丁寧な字で書いてあったのです。

私は歩きながらその意味について考えました。誰があれを書いたんだろう?何のために書いたんだろう?

彼はレオという名前で、自分で自分を励ますために書いたのかもしれない。

彼にはレオという家族か友人がいて、彼はレオを励ましたくて書いたのかもしれない。

あるいは、彼はレオという名前で、彼の家族や友人、とにかく誰か彼のことを気にかけている人が、彼を励ますために、彼の無事を祈って、彼がいつも身につけている帽子の裏に、消えないようにマジックで書き込んだのかもしれない。レオ、諦めないでね、自分に打ち勝ってね、私はいつもそばにいるし、あなたを信じてる、この言葉を思い出して、と。

真実は藪の中だし、これは私の勝手な想像かもしれない。

でも私はあんなにありったけの心を込めた贈り物を見たことが無い気がします。


ところが、今日、いつものように私が学校へ向かう途中でふと見ると、彼は帽子を持っていませんでした。

私は驚いて必死で目で探したけど、ポケットにも入っていないようだし手荷物も持っていない。帽子は忽然と消えてしまっていたのです。


レオ、帽子をどこへやったの?帽子をどこへやったの?