クレーマー対処も仕事だし、面倒でも行かなければならない。
とりあえず、朱李さんに話を通そう。
お宅の場所だけは拝見しておこうと思い、用紙の地図を見てみる。
「へっ……?」
直後、私の口からは間抜けな声が出ており、
「蓮さーんッ!」
……と、『俺地理だけは得意なんだょね☆』と言っていた蓮さんの名を呼びながらエントランスへ駆けていた。
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「「「キャァァァァァァッ!」」」
溢れんばかりの大歓声。
「蓮ッ!葵様が到着したみたいだょ!」
人の入り混じるエントランスで、隣に居る蓮に話しかける。
言い終わってみて、気づいた。
そっか、私が暑いって言ったからジュース持ちに行ってくれたんだった。
『キミ、見たこと無いけど可愛いね♡ここの社員だよね?どこの部所?』
ふと、蓮の声が少し遠くで聞こえてくる。
『まじで!?キミみたいな美人見過ごしていたなんて、俺としたことが……まぁ、麻穂には劣るけど♡』
あぁ……またか。
知ってる、分かってる。
私を大切にしてくれている事も。
私が一番だって思っていてくれている事も。
軟派した女の子達に私の自慢をして引かれてる事も。
━━━全部、知ってる……はず、何だよ?
なのに。
何で私、泣いてるの……?
ただ、葵様をお出迎えに来ただけ。
蓮と居たかったからじゃなくて……。
『蓮さーんッ!』
丁度、私の良く知っている人が、蓮の名前を叫びながらエントランスへ駆けてくる。
「しょぉ、か……ちゃん……っ」
「えっ、麻穂!?」
私に気づいた翔香ちゃんが、駆け寄ってきてくれた。
その瞬間、蓮と出会ってからの5年間溜めてきた思いが全部溢れ出てくるように、
泣いた ━━。
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