参考にするものは出来れば生前描かれた寿像が良い.さらにお墨付きといえる本人の賛があればなお良い。亡くなった後に描かれたものは直後に描かれたからといってどうなのだろう。手掛けることになった画僧や彫刻師が生前面識があったのならまだしも、そうでなかったら没後すぐだろうと、いい加減なものが作られるだろう。 小学校の図書室と出会い、片っ端から伝記、偉人伝の類を読み漁り今に至っているが、幼い私はすべて現場を見ていた人が書いていると思い込んでいた。仮に私が桜の木を切って正直に告白しても書いてくれる人がいないではないか、と思っていた。昭和30年代の木造の小学校の図書室には戦前由来の作り話めいたいい加減な偉人伝が随分あった。